空腹は断酒の敵

この記事は「空腹は断酒の敵」です

結論は「空腹はイライラを感じやすく、疲れやすくもなるのでスリップをしやすくなります」です

アルコール依存症の治療は断酒が基本です。

断酒継続のために日常生活でチェックできるツールとしてHALTの法則というものがあります。

HALTは空腹な(hungry)、怒った(angry)、孤独な(lonely)、疲れた(tired)の頭文字からきています。

依存症がスリップをしやすい状態として「空腹」「イライラ」「孤独」「疲れ」を挙げています

空腹が続くと疲れるのは分かりやすいと思います

しかし空腹になると疲れると同時にイライラします

イライラが断酒の敵になります

逆に適度に食欲が満たされていることは断酒継続のキーポイントです

その理由を主に脳内の働きから説明してみました

家庭でも職場でも飲酒欲求が出たときは、食事をとって空腹から逃れるのがいい方法ですし、できれば普段から必要以上に空腹になるのは避けたほうが無難だと思います。

空腹は断酒の敵

脳神経細胞のエネルギー源はブドウ糖と酸素です

ブドウ糖が十分に供給されないと脳神経細胞は活発に働きません。

体の中で最もブドウ糖消費が多いのは脳です

脳は体の全重量の約2%しかないのに、消費される全体量の約20~25%を消費します。

脳と酸素とブドウ糖について詳しくはこちら

脳の活動に「酸素」と「糖」はどのように関わっているのか? | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン
前回は、脳の仕組みから見た「認知症」発症のプロセスを取り上げました。今回は、脳の活動に「酸素」と「糖」がどのように関わっているのか等を見ていきます。

空腹になると怒りの原因となる神経伝達物質が分泌される

私たちの身体は、血中にブドウ糖を約20㎎しか貯蔵できません。

血中のブドウ糖が不足(低血糖)すると、肝臓などに蓄えられたグリコーゲンが分解され血糖値を一定に保ちます

インスリンというホルモンの働きのおかげです

インスリンの仕組みはこちら

インスリンの役割|DMTOWN
インスリンってなんだろう? インスリンの役割は? 糖尿病の発症に至る仕組みを簡単に紹介します。DMTOWNでは、糖尿病の治療や予防に関する様々な情報をお届けしています。

ブドウ糖が不足(低血糖)すると脳の働きが悪くなります

低血糖になると最初に分泌されるのが、怒りの原因となる脳内物質(ノルアドレナリン・アドレナリン)です

ノルアドレナリンはやる気・怒り・興奮を感じさせる神経伝達物質「闘うホルモン」と言われています。

ノルアドレナリンが分泌されると血糖値は上昇するのですが集中力・記憶力が高まるという良い面があります。

受験勉強なども満腹よりも適度な空腹感があるほうが、集中するし効率がいいです

ノルアドレナリンが分泌されると同時にアドレナリンも分泌されます。

アドレナリンは筋肉を増強するので闘いという意味では有利です。

お腹が減ると戦闘状態になるというのは、人間が動物である以上当然だと思います

低血糖とノルアドレナリン・アドレナリンの分泌についてはこちら

低血糖症|血糖値の変動とその影響
マリヤ・クリニック 千葉県千葉市稲毛区 ...

ノルアドレナリン・アドレナリンについてはこちら

ノルアドレナリンとアドレナリン受容体 ~交感神経を中心に~ [ストレスと自律神経の科学]

低血糖になると、同時に脳の前頭前野(前頭連合野)の働きが低下します。

前頭前野は、計画通りに行動することや感情、欲望をコントロールする働きをしています

闘うホルモン(ノルアドレナリン・アドレナリン)によるストレスを抑制する前頭前野の働きが低下するので、空腹感と同時にイライラもコントロールできなくなります

ちなみにお酒を飲んで最初に麻痺するのも前頭前野です

ストレスと前頭前野についてはこちら

ストレスと脳
東邦大学理学部 生物学科の生物学の新知識です。鳥島におけるアホウドリ繁殖集団の再確立の紹介です。

アルコールが脳に与えるダメージをまとめた私の記事です。

アルコールが原因の脳萎縮を知ると、お酒をやめるたくなる
アルコールが原因の脳委縮の症状を画像を載せ、実際に診断された自分自身の体験も含めて書きました。なぜ委縮するのか、飲酒量との関係、反対意見、自分自身が回復するためにやった方法を書いています。

食欲を満たすと飲酒欲求が減る理由・断酒後に甘いものを食べたくなる理由・血糖値が下がる危険性についてまとめました。

断酒後に甘いものを食べたくなるのは脳の仕業
断酒後に甘いものを食べたくなるのは、脳の仕組み・働きがあります。今回は「ドーパミン」「血糖値」「レプチン」からざっくりとまとめてみました。甘いものが食べたくなる原因が分かれば食べ過ぎ対策も可能になるかもしれません。

血糖値が下がると前頭前野に悪影響を与えることについてはこちら。

キレる人は、なぜキレるのか? 脳科学から見る「3つの原因」 (3/3)
他人の言動に過剰反応、物に当たる、大声で怒鳴る――。すぐキレる人はなぜ、感情をコントロールできないのか。脳科学の観点から解説する。

ブドウ糖を取ると安心ホルモンが働く

セロトニンという神経伝達物質があります。セロトニンはノルアドレナリンドーパミンの働きを抑制します。

セロトニンが脳内に分泌されると精神が安定し、感情がコントロールされやすくなります

抗うつ薬でSSRIはセロトニンを増やす働きがあります。

セロトニンは脳の中でトリプトファンというアミノ酸から合成されています。

ブドウ糖を摂取してインスリンが働くとトリプトファンの脳内への輸送が促進されます

血中のトリプトファンが脳内に取り込まれることにより「安心のホルモン、セロトニン」が作られます

つまり適切な食事で食欲が満たされていると「安心ホルモン」が「闘うホルモン」を抑制してくれます

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脳の栄養〜ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として〜|農畜産業振興機構
独立行政法人農畜産業振興機構は、農畜産業及びその関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定のために価格安定業務,補助事業,情報収集提供事業を実施しています。

セロトニンとトリプトファンはこちら

心の安定――セロトニンの不思議|総合南東北病院 広報誌こんにちわ
福島県郡山市 一般財団法人 脳神経疾患研究所 附属 総合南東北病院は最先端の医療を提供して行きます。がん(ガン、癌)検診・治療、PET検査、陽子線治療から脳腫瘍ガンマナイフなど。

規則正しい食事は依存症の人にとっては必須

アルコール依存症のチェックをするテストに「新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト」があります。

この質問の中に直接飲酒に関係ないものが一つあります。

「食事は1曰3回、ほぼ規則的にとっている」です

つまり規則正しい食事をとっているかどうかは依存症と高い相関関係があるとこのテストを作った機関も考えているということです

「新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト」などアルコール依存症のスクリーニングテストをまとめたのはこちらです。

酒好きと依存症の違いをチェック
「アルコール依存症? まさか!」と思いながらも誰に聞けばいいかわからないのが普通です。この記事ではアルコール依存症の代表的なチェックリストである「AUDIT」「新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト」「CAGE」のそれぞれの特徴をまとめました。

結論

空腹になるとまず闘うホルモン(ノルアドレナリン・アドレナリン)から分泌されてイライラしやすくなります

脳の働き(特に前頭前野)が低下するので、イライラを抑制する力が落ちます

適切な食事は安心ホルモン(セロトニン)が分泌されやすくなり、イライラを抑制するだけでなく満ち足りた気分になります

つまり空腹はイライラを感じやすく、疲れやすくもなるのでスリップをしやすくなります

haltの法則についてはこちら

HALTの法則で依存症は回復する
HALTの法則とは依存症の人がアルコールの再飲酒、薬物の再利用を防ぐポイントです。今回はアルコール依存症の事例で説明しましたが、薬物依存症など他の依存症・精神の病気を引き金とする障害・症状からの治療・回復に応用できます。病院・自助グループでも使われます。


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