ノンアルコールビールは断酒の味方? 敵?

この記事はノンアルコールビールは断酒の味方? 敵?です

結論は「自分の心に聞いて判断する」です

アルコール依存症の方でノンアルコールビールを飲んでいる方はいらっしゃいますか?

ノンアルコールビールを飲んでも肝臓は悪くなりません。

飲酒運転にもなりません。

私は断酒をしている人がノンアルコールビールを飲むことをおすすめはしませんが、否定するつもりはありません

また断酒初期に炭酸飲料を飲んでも物質的な意味で害はありません。

ダイエット目的で禁酒している人にも飲みすぎなければノンアルコールビール・炭酸は効果があるかもしれません。

私がノンアルコールビールを肯定も否定もしないのは、アルコール依存症が心の病気だからです。

私はその人がノンアルコールビールに何を求めているかで結果は違ってくると思っています

私の今のところ最後の失敗10年前でした。

その引き金はノンアルコールビールです。その私の失敗体験を書きました

このブログ記事は、その時の失敗をきっかけに「お酒を我慢する毎日から、お酒に頼りたくなる根本原因を克服していくこと」に目標を変更した経緯をまとめました

治療効果は? アルコール依存症にとってのノンアルコールビール

ノンアルコールビールを楽しまれている方は、多いと思います。

この10年間で市場規模は15倍になっているそうです。

飲みたい気分だけど、運転などで飲んではいけない時に好まれているのでしょうか?

お酒は飲まないが、ノンアル飲料を好んで飲む方もいるそうです。

  • 「お酒は身体に悪い。だからノンアルビール」
  • 「リラックス効果があるとされているGABA(ギャバ)が含まれている」

ただアルコール依存症の人にとって、ノンアルビールはどういう位置づけになるのでしょうか?

アルコール専門病院の医師で治療効果があると勧めている人は少数派だろうと思います

認めていても「限定的」です

「飲みたい時は仕方ないけど…飲まないほうがいいよ」と言っているのはよく聞きます

「飲酒欲求が起きたときは、ノンアルビールを飲んで我慢しましょう」という先生は、私の知っている範囲ではいません

もっとも内科など、アルコール依存症の専門医以外では逆になるかもしれません

参考までに「新宿OP廣瀬クリニック」理事長 廣瀬 久益先生の動画です。

廣瀬先生の話の内容は、精神科・特にアルコール依存症に詳しい先生に多い意見の代表例です。

アルコール依存症「ノンアルコールビール」は大丈夫か?

私の体験談です

さて私はどうかというと依存症者がノンアルビールを飲むことに否定するつもりはありません

ただ私にとってアルコール0.00%のノンアルコールビールは悲劇をもたらしました

私の体験を書いておきます。

ヒントになりそうなところは、参考にしてください。

飲んだり止めたりの繰り返し

私がアルコール依存症と診断されて、初めてアルコール専門病院に入院したのは2001年です

2回目の入院が、2003年です。この時に、脳が委縮していると告げられました。MRI画像では隙間がありました

脳委縮の体験とアルコールが脳にとってどれだけダメージを与えるかもまとめました。

アルコールが原因の脳萎縮を知ると、お酒をやめるたくなる
アルコールが原因の脳委縮の症状を画像を載せ、実際に診断された自分自身の体験も含めて書きました。なぜ委縮するのか、飲酒量との関係、反対意見、自分自身が回復するためにやった方法を書いています。

脳が委縮していると言われショックを受けました

ですから、飲酒を何とかしようと思って悪戦苦闘を始めました。

しかし、飲んだり止めたりの繰り返し

長くても半年。普通は3か月ぐらいで、再飲酒することが多かったです

3か月くらい酒を止めて、失敗してしばらく飲み続ける

そしてまた酒を飲まない

ういうことの繰り返しですが肝臓の数値は正常になっていきました

2008年の5月大腸がんになり、手術をしました。

はショックでしたが、飲みすぎに関する検査の数値ほぼ正常だったので、少しホッとしていました。

癌で入院した時に、昔診ていただいた先生の中には「vegaさんお酒はやめたの?」と言ってくださる方もいました

手術が終わって以降は、治療が続きました。それから1年弱、酒を飲んでいませんでした

でも飲みたい気持ちを我慢していたよね

アルコール度数0.00%”のノンアルコールビール登場

ところが2009年4月頃、“世界初、アルコール0.00%”のノンアルコール・ビールテイスト飲料”とうたって、ノンアルビールが発売されました。

私は当時も今もほとんどTVを観ませんがこのCMは強烈な印象を持っていて、今でも覚えています。

伊達公子さん、古閑美保さんのグラスを持ったおいしそうな笑顔に惹きつけられてしまいました

ノンアルビールは、昔からありました。しかしまずかったのです

またアルコール専門病院に入院中に、微量でもアルコールが含まれている商品のリストを手渡されていました。

栄養ドリンク、洋菓子、酒粕、奈良漬、みりんなど。

こういったものの中に、ノンアルビールは含まれていました

ですから飲んでいなかったのです

新しいノンアルビールはおいしかった

ところが、「世界初、アルコール0.00%」というフレーズに私の心の底にある「飲みたい病」が目覚めてしまいました

当時は飲んでいなかったので、コンビニで買い物をすることもなくなっていましたが、わざわざコンビニまで足を運んで商品の品定めをしました

迷う気持ちも若干あり、しばらくは見ているだけ。手を出しませんでした。

5月の中頃になり、大腸がんの手術から約一年経ちました

もうすぐ飲まなくなってから1年だな。アルコール0.00%だから大丈夫だろうそう思い、ついに飲むようになりました

昔飲んだノンアルビールよりは、とてもよくできているな。おいしいなと思いました

ノンアル飲料から酔う酒へ

その後次々と色々なメーカーから新商品が発売されました。

そしてスーパーや、色々なところでも、商品が陳列されるようになりました。

最初はノンアルビールばかりを飲み比べていたのです

だってゼロだもん、旨いし

しかしと言うか、やはりと言うか。

それがストロングチューハイに代わり、昔通りの安くて度数の高いウイスキー、ジン、ウオッカに戻るまでに1か月もかかりませんでした

私は断酒1年を目前に失敗してしまいました

それでも、再びやめられる自信がありました。

もう一度チャレンジしよう。次こそ一年超えが目標だ

ところが、この時はダメでした。

止めても1週間も持ちません。それどころか、久しぶりに連続飲酒に陥ってしまいました

仕事を首になり、3度目のアルコール専門病院の入院となりました

しばらく断酒した後の再飲酒は過去最悪の状態になることを自分自身と仲間の経験から書きました。

しばらくやめていても再飲酒すると目も当てられない状態になる
再飲酒の原因は「やめ続けられたから酒をコントロールできるようになったという錯覚」から起こります。「酒に対して無力であり、上手く生きていけない」というのは依存症に必要な考えです。私の知っている先輩たちの言葉(断酒が長い人から初心者まで)を自分の言葉でまとめました。

ノンアル飲料でも…

入院してみると、私と同じようにアルコール0.00%で躓いた患者がいました。

彼の話によると「ノンアル飲料は酒じゃないと思って、飲んでみた。しばらくは大丈夫だったが、結局は専門病院に入院する羽目になった」

程度や期間の差はありましたが、同じような失敗をして、その後も入院した仲間がいました。

やはり「アルコール0.00%であっても、人によってはダメなのだ」と痛感しました。

入院中主治医に言われました。

強制はしないけど、炭酸飲料も控えたほうがいいかもしれないね。医学的根拠はないけど…

それからは、自分からお金を出して炭酸飲料を買うことはなくなったのね

少しでも断酒にリスクがあることからは徹底的に遠ざかるようになりました

アルコール依存症は心の病気、だから回復を

私はこの経験を通してアルコール依存症は、心の病気だと強く実感しました

身体にアルコールを入れない期間がしばらくあってもこの病気は勝手には治らないということです。

擦り傷のように自然に治癒しないのだと痛感したのです。

アルコール0.00%の飲料は、大多数の方にとっては便利なのだろうと思います。

自助グループでも「ノンアルは大丈夫」といって断酒を続けている人はいます

しかし、私のように日常生活で生きづらさを感じると、酒に手を出してしまう人間には呼び水になってしまうことがあると思います

私は癌の治療のため一年間お酒を「我慢」していました

もうすぐ一年だな。一年やめたから大丈夫だろう

そういう油断もありました。

しかし恐怖の気持ちから我慢しても心の底の飲みたい病はなくなっていませんでした。

むしろ無理やり押さえつけられていた感情は、ずっとはけ口を求めていたのだろうと思います

実際いつもイライラしていました。

些細なことで有頂天になったかと思えば、急に落ち込むこともありました。

周囲は「癌だから」ということで、かなり大目に見てくれました。

そういった好意を当然と思い、悲劇のヒーローを気取っていたところもありました

悲劇のヒーローのように自己憐憫をする弊害についてまとめました。

自己憐憫が依存症と家族の生きづらさの最大の原因
自己憐憫(自分を可哀想だと思う、自分を憐れだと思う)は依存症回復の重要ワードです。自己憐憫がどういうもので、どこが依存症に悪さをするのか。謙虚さと卑屈の違いを書きました。知ることと、認めることで生きづらさを解消するヒントになります。

不安と自己否定から飲酒を続ける悪循環についてまとめました。

不安障害を克服するために依存症の私がしたこと
不安障害にはいろいろな症状があります。パニック障害、急に涙が出る。特に夜一人になると不安・孤独の感情に突然襲われて自分が可哀そうという自己憐憫になりお酒や自傷行為に走ることがよくあります。私の体験でアルコール依存症の不安障害に効果があると思った「同じ病気を持った他人を認める方法」についてまとめました。

私はこの経験をきっかけに、アルコール無しで日常生活を送る方法を探し、身につけようと思い始めました

今思えばこれは「底つき」の一つだったと思います。

その気づきが回復への第一歩でした

私はこの失敗をきっかけに断酒継続ができるようになりました。もうすぐ10年です

この間の気づきをこちらの記事で詳しく書きました。

断酒9年半の私から見た断酒一年ができる人の特徴
断酒一年の最も大切な意味は安定期に入ったということだと思います。断酒後のイライラなどが減って、断酒していいことのほうが具体的に感じられます。断酒一年を超えている人の特徴、断酒一年半後に起こるかもしれない注意・問題点などを私の体験を基にまとめました。

底つきが断酒のきっかけになるという記事です。

「底つき体験」から断酒が始まる
断酒継続に必要なのはまずは「底つき体験」です。「底つき」は知識として知っているだけでは効果を発揮しません。本当は多くの様々な人の「底つき体験」を知ることが早道ですが、簡単ではありません。「底つき体験」については、ブログの1記事だけでは説明しきれませんが、ガイドラインになるようなものを書きました。

自分はどこで線を引くか

ノンアルコールビールが良いか悪いかという話に戻ります。

こういう話になると「醤油だってアルコールは入っているぜ」という方がいます

醤油だけでなくアルコールが入っている食品は意外と多いです。

恐らく知らない間にアルコールを口にしていることはあるはずです。

問題は「自分はどこで線を引くか」だと思います。

繰り返しますが、私はアルコール依存症は心の病気、精神科の病気だと思っています

心が嫌いな方は、脳のドーパミンが暴走する病気でも構いません。

そのことを強く感じるのはギャンブル、薬物、セックス、クレプトの方の話を聞く時です。

私は他の依存症や摂食障害の方の話を聞くと根本的な部分で共通する悩みを抱えていると強く感じます

きっかけや病気の現れ方がそれぞれ違っているように見えます

肉体の個体差や環境・経験によって表れている結果は違うのですが、病気の根っこの部分はかなり近いように思います。

ですからアルコール依存症の人がノンアルビールを飲んでいいかどうかは物質としてOKかどうか、アルコール濃度がどれくらいかというよりもノンアルビールに何を求めているのか? という面が大きいと思います。

自分の心に聞く

もし自分がノンアルビールに何を求めているかがわからないという方に、一つの考え方を示しておきます。

それはノンアルビールを飲んでいることに罪悪感を持っていないかどうかです。

人に隠れて飲んでいたり、本当は飲まないほうがいいんだけど…と思っている方はやめたほうが良いと思います

またノンアルビールは良くないんじゃない? と言われたとき、むきになったり、反発したり

また同じようにノンアルビールを飲んでいる人と「アルコールゼロだよ!!文句ある」と結束したくなる人です

もしこういう感情があるなら「依存違った表現形態をもって表れるかもしれない」という考えもあることを知っていただければと思います。

アルコール依存症は否認(素直になれない)の病という記事です。

アルコール依存症は否認の病気
依存症の人は否認があります。「否認ってアルコール依存症だと認めていないことだろう? 俺は認めているよ」という方にももう一度否認を見直してもらうと断酒継続や生きづらさを減らせるかもしれません。まずは依存症にとっての否認について色々な角度から見てもらえるように書いてみました。

アルコール依存症の治療は体だけではないという記事です。

アルコール依存症の回復は肝臓を治すことだけではない
お酒が好きな人は肝臓の治療は受けても依存症の治療・断酒は拒みます。アルコール依存症はコントロール障害です。お酒を上手に飲めません。治療にはアルコール専門病院がお勧めです。依存症になったら仲間と共に回復を目指すことが必要です。

最後は自己判断

最後は自己判断だと思います。

私は自分の失敗体験を書きました

しかし読者の方が成功するか失敗するかはわかりません。

私は自分が「ああしろ」「こうしろ」と言われるのが好きではありません

読者の皆さんも嫌なはずです

私がこのブログを書くときに、いつも頭に置いていることがあります。

それは「過去の苦しかった自分が知っていればよかったかも」と思うことを書いていることです。

ですから役に立つ方と役に立たない方がいるのは当然です。

役に立つ部分と、立たない部分があるのも当然だと思います。

この記事も一個人の体験をもとにして書いているので、その中から一つでもヒントになることがあれば幸いです。


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