断酒と禁酒の違いとは?

この記事は「断酒と禁酒の違いとは?」です

あなたは断酒派ですか? それとも禁酒派ですか?

私自身はアルコール依存症なので、治療の方法としては「断酒以外ありえない」と思っていました。

最近Twitterで「Vegaさんは断酒する派なんですね。私は禁酒で頑張ります」というリプやDMを頂くことがあります

たまにお酒を飲むだけの人が「骨折したからしばらく飲まない」と言えば「禁酒」というのが私の考え方でした。

そこで改めて断酒と禁酒の違いを記事にまとめました

この記事を書きながら感じたことがあります

断酒か禁酒か節酒かというのは「アルコール依存症の治療」という視点がなければ言葉の意味を共有できないということです。

私は「アルコール依存症って何?」と言う人にまで「断酒しましょう」と押しつけていたのかもしれないと思いました

そのあたりを考慮して「とりあえず禁酒」という人にも「生涯断酒しかありえない」という人にも「節酒じゃダメ?」という人にも「アルコールに依存なんかしていないよ!」という人にも違いを納得していただけるように記事にまとめてみました。

禁酒の意味? 断酒の意味?という辞書的な説明と治療・回復の視点から違いを書きました。

禁酒とは?断酒とは?言葉の意味の違い

禁酒の意味を辞書で調べる

きん‐しゅ【禁酒】 の解説
[名](スル)習慣的に酒を飲んでいたのをやめること。また、酒を飲むことを禁止すること。「禁酒禁煙」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

禁酒は晩酌などの習慣がある人が「お酒をやめてみようかな」といったイメージでしょうか

またお酒を飲むのにふさわしくない場所などで「禁酒してね」と言われれば「ここでは飲んではいけない」という意味のようです。

いずれにしても「お酒はやめる」「お酒を飲まない」という意味のようです

断酒の意味を辞書で調べる

だん‐しゅ【断酒】 の解説
[名](スル)《古くは「だんじゅ」とも》きっぱりと酒をやめること。禁酒。
出典:デジタル大辞泉(小学館)

一方断酒は「きっぱり」と定義しているところが違います。固い決意を連想させます

節酒の意味を辞書で調べる

せっ‐しゅ【節酒】 の解説
[名](スル)酒を控えめにすること。飲む酒の量を減らすこと。「健康のために節酒する」
出典:デジタル大辞泉(小学館)

よく似た言葉に「節酒」があります。

お酒を控える意味なので「休肝日を作る」「2本飲んでたビールを1本にする」「お酒は外で付き合いの時だけ。家では飲まない」といったニュアンスがあります

禁酒と断酒の効果の違いは?

禁酒と断酒の効果の違いを区別するなら(効果を実感したい)期間の違いにあると思います

と言うのも後で説明しますが「断酒」には「一生飲まない」という意味が含まれているからです。

ですから禁酒の効果は定期的に飲んでいた人が短期間に感じる効果が中心になるだろうと思います

例えば1か月禁酒したら体重が○○kg減ったなどです。

禁酒の効果 私の体験

私自身はお酒をやめて真っ先に感じるのは、朝目が覚めた時の気持ちよさはではないかと思います

これは私一人の体験だけではありません。

アルコール専門病院に入院していた時に感じたのは、他の患者さんの朝の表情や体の動きが、最初の1~2週間で顕著に良くなることでした

この期間は閉鎖病棟アルコールを抜いて体のケアを集中して行う時期です。

離脱症状と言ってアルコールが身体から抜けているときに起こる症状のうち不眠があります。

「眠れない・睡眠不足だ」と言いながらでも朝の表情はどんどん変わっていきます

短期間飲まないことについてはこちら

断酒一週間で起こることさらに継続するために知っておきたいヒント
断酒・禁酒には動機が大切。アルコールを抜いて最初の1週間までの効果・体調や気持ち、特に肝臓(γ-GTP)・血圧・体重などの変化。それぞれの場面での失敗しやすいポイントを断酒の経過を中心にまとめました。さらに継続していくためのヒントを最後に書きました。

離脱症状についてはこちら。

連続飲酒と離脱症状の悪循環はもうアルコール依存症
連続飲酒とは24時間アルコールを手放せなくなる状態です。実はこの状態は休日の昼に飲酒することがきっかけになります。それがやがて連続飲酒になります。アルコール依存症者に多い飲み方です。緊急的な対処法としての通院と予防策についても書きました。

アルコール専門病院での入院についてはこちら。

アルコール専門病院の入院期間が3か月という理由
入院期間はアルコール専門病院の場合は2か月半から3か月くらいが多いです。この記事ではアルコール専門病院の入院治療に3か月弱必要な理由と「そもそも入院は強制なのか?」ということについてまとめました。

その後開放病棟(一般病棟)に移ります。

アルコール専門病院での食事は大食堂で一緒に食べるのが一般的です。

最初の頃ほどの変化はありませんが、入院したばかりの人と退院間際の人(アルコール専門病院の入院期間は3か月が多い)とでは全く違います。

その違いは朝食の時の様子が一番わかりやすかったです

そして食欲もだんだん旺盛になっていきます。間食が多いと看護師さんに注意される人もいます。

入院期間が長くなるほどに、散歩などをしたり、自分で腕立て伏せや腹筋をする人もいます。

身体を動かせるので余計に食欲にも睡眠にもいい影響が出るのだと思います。

とは言っても個人差はあります。外出を嫌う人は結構いますし、不眠を訴え、睡眠薬を増やしてほしいと医師や看護師に談判する人もいます。

私は「断酒10年を振り返って感じる断酒の効果ベスト8」という記事で「肝臓と血圧の数値は1~2週間でかなり下がる」と書きました。

アルコール専門病院に入院するころには肝臓などの疾患を抱えている人が大半です。

あと特に女性は肌の調子がよくなります。若返ります

ですからこういった特徴は、お酒を飲み続けていた人がしばらく「禁酒」すれば得られる効果だろうと思います。

断酒10年を振り返って感じる断酒の効果ベスト8
断酒したらどんないいことがあると思いますか?私は「断酒はメリットしかない」と言いたいです。私自身の体験で効果が早く出たことから順番に8つ(肝臓・血圧・肌(若く見られる)・お金・ダイエット・脳・人間関係・時間)書きました。

アルコール専門病院についてはこちら。

アルコール専門病院
このページは「アルコール専門病院」です 病院についてはこちら アルコール専門病院へ行きたがらない人でも納得する5つの理由お酒をやめられないという病気は精神科です。「お酒をやめられない」という場合はアルコール専門の医療機関を受診...

医療機関は禁酒・断酒・節酒をどう考えているか?

お医者さんが禁酒・断酒・節酒についてどう考えているかは一人ひとり微妙な違いはあるでしょう。

そこで辞書ではなく健康・医療を総括している厚生労働省の考えを書いてみます。

断酒(だんしゅ)

自らの意思で、ずっと一切の酒を断つこと。アルコール依存症から回復する方法は、断酒だけです。
「飲みすぎたのがいけないのだから量を減らそう」「しばらくやめるが、体が良くなったらたまには飲もう」という「節酒」や、一定期間の禁酒が目標では、最初はうまくできているつもりでも、そのうちに元の飲み方に戻ってしまいます。eヘルスネットより引用

つまり、アルコール依存症になった場合「節酒」「禁酒」ではだめで「断酒」以外には治療効果はないと考えています

これはアルコール依存症が飲酒をコントロールできない病気と定義されているからです

そもそも、アルコール依存症とは、飲酒をコントロールできなくなる病気なので、飲酒をコントロールしようとしても無理なのです。一滴でも飲酒をしないという「断酒」だけが、アルコール依存症から回復する唯一の方法です。そして、断酒は人から止められることでは達成できません。例えば、身体をこわして入院し、その間だけ飲酒しなかったとしても、自分で酒を断とうと決心しない限りは、問題の解決にはならないのです。 自分自身だけが断酒を実行可能であり、一日一日断酒を続けていくことが依存症からの回復なのです。eヘルスネットより引用

断酒
自らの意思で、ずっと一切の酒を断つこと。

断酒の効果とは

医療機関の考え方が「アルコール依存症になると断酒だけが回復の方法」とすると「では断酒の効果の結果である回復とはどんな内容でしょうか?

先ほども取り上げた以下の記事で「お金」「ダイエット」「脳」「人間関係」も好転すると書きました

断酒10年を振り返って感じる断酒の効果ベスト8
断酒したらどんないいことがあると思いますか?私は「断酒はメリットしかない」と言いたいです。私自身の体験で効果が早く出たことから順番に8つ(肝臓・血圧・肌(若く見られる)・お金・ダイエット・脳・人間関係・時間)書きました。

ただこれらは先ほどの「禁酒」による効果よりも個人差が大きいと思います。

私の記事でも私個人の体験ですとお断りしています

なぜ個人差が大きいのかというと「断酒の効果である回復」の内容が少し抽象的だからです。

以下は「アルコール依存症に関する12章より・斉藤 学」からの引用です。

アルコール依存症からの回復
回復とはアルコールとの関係を断ちながら、自分自身および他者との新たな関係を築いていくことや、より健康なパーソナリティになっていくことです。

回復の条件と回復過程
病気を受け入れる
アルコール依存症であることを認めることです。
病気を受け入れることをしないで「我慢の断酒」をしているうちは、早いうちに飲酒が再開されます。
自助グループに参加し続ける
その中にはAA(アルコホリクス・アノニマス)や断酒会があります。
ここではAAを説明しますが、この方法は非常にシンプルなもので12ステップと呼ばれています。言うなれば、頭で勉強するのではなく、実際に行うことによって体験する人生の生き方です。
このプログラムはただ断酒ではありません。
本当の目的は飲んだり使ったりしないで生きること。アルコールを止めようとしても「生き方」が変わらなければ依存症という病気からの「回復」とは言えません。
「生き方」がよくならなかったら再び酒あるいは、他のもの(薬・ギャンブル)に病的に依存します。
アルコール依存症に関する12章・斉藤 学 有斐閣新書 より引用


より健康なパーソナリティ」『「生き方」が変わらなければ依存症という病気からの「回復」とは言えません』と書かれていますがこれらは血液検査血圧計のように誰でもが測定可能な内容ではありません。

「生き方」が人それぞれに違うので、ある程度「お金」「体重」「人間関係」などが好転するという共通点はあっても、現れてくる成果は人によって違います

禁酒よりもさらに主観的な内容になるところが断酒の効果を測定する難しさになっていると思います

禁酒すべき人と断酒すべき人の違いは?

禁酒すべき人か断酒すべき人かの判断は「アルコール依存症かどうか」だと思います

単純に考えれば「断酒」がアルコール依存症の治療方法ならば、依存症ではない人は「禁酒」で構わないということになります。

以下はアルコール依存症かどうかの判定を簡単にできるツールを紹介しています。これを用いればおおよその判定は可能です。

酒好きと依存症の違いをチェック
「アルコール依存症? まさか!」と思いながらも誰に聞けばいいかわからないのが普通です。この記事ではアルコール依存症の代表的なチェックリストである「AUDIT」「新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト」「CAGE」のそれぞれの特徴をまとめました。

しかし、このツールでまだ大丈夫だったとしても注意すべき点があります。

それは「アルコール依存症は進行性の病気」「耐性がある」という点です

生まれつきアルコール依存症の人はいません

最初は少量だった飲酒がだんだん増えて依存症になっています。これがこの病気の恐ろしさです

どこからがアルコール依存症なのかということについてまとめました。

アルコール依存症はどこから?
「どこからがアルコール依存症なのか」は判断が難しいです。アルコールの専門医でなければ正確な判定は難しいといえます。この記事ではアルコール依存症の定義や状態。アルコール依存症と酒乱の違い。代表的なチェックツールについてまとめました。

依存症になっていく脳のメカニズムについてまとめました。

依存症になっていく脳とドーパミンのメカニズム
この記事では脳の報酬系や悪循環の仕組み・一度依存症になるとなぜ元通りにならないのか?についてまとめました.こういった知識があると理性の力だけで依存をコントロールできないと納得しやすくなります。無駄な抵抗はやめようと思えるのでその意味ではお勧めの内容です

禁酒と断酒の方法の違い

禁酒と断酒の方法の違いは「アルコール依存症からの回復」という視点を抜きにしては同じようで違ったものになります

というのは禁酒の方法について医療機関はほとんど語っていませんが、断酒の方法については明言しているからです。

禁酒の方法は各人がそれぞれ工夫して行うが、断酒は医学的にある程度検証済みの方法があり、実際に行っているということです。

これはアルコール依存症が医療機関が治療すべき病気だという認識があるからだと思います。

例えば私自身もとりあえずお酒をやめるための方法として、以下のような記事を書きました

少しでもお酒をやめたい人へ  
お酒をやめるのに大切なのは「断酒できている人から学び・吸収する」ことです。断酒継続にとって最も大切な「ストレスマネジメント」「病院との付き合い方」「底つき体験」について書きました。断酒をしたいと思い始めた方から1年の継続、3年の継続が難しいくらいの人には役に立つと思います。

この記事でお酒をやめている人を見習うと書きましたが、依存症ではない人が依存症の人のやり方を真似する必要はないと思います。

禁酒をする方法は自分でグーグル検索をするなり、書籍を探して「これだ」と思うやり方になると思います

一方断酒の方法については厚生労働省は以下のように述べています。

そして依存症から回復するためには、アルコール依存症の専門的な治療を行っている医療機関への受診や、AAや断酒会といった自助グループに参加することが重要です。自分の意思だけに頼って止めようとするのは、なかなかうまくはいきません。まず専門医療機関を受診し、きちんとした診断・治療を受け、断酒のための正しい方法を専門家と相談することが、断酒の成功への近道になります。そして独りの力では難しくても、自助グループに参加して仲間と一緒に断酒していくということは、断酒を続けるための大きな力になるはずです。eヘルスネットより引用

ここで再度自助グループという言葉が出てきました。

以下は厚生労働省の説明です。

アルコール依存症の回復は、断酒の継続が大原則です。自助グループへの参加は、断酒の継続に大きく貢献します。アルコール依存症の治療施設で、患者に自助グループへの参加を強く勧めるのはそのためです。日本では、断酒会とAAが有名です。これ以外にも小さな自助グループが存在します。自助グループの情報をもっと知りたい、または参加してみたいと思われる方はまず、断酒会、AAのホームページを参照ください。eヘルスネットより引用

自助グループは同じ病気・悩みを抱えた当事者同士の自発的なつながりで結びついた集団です

医師と患者の関係は「専門家と素人」「治療する側と治療を受ける側」の関係です

自助グループはそうではなく、グループの運営を当事者たちが独立して行うのが特徴的です

しかし、なぜそのような集団が治療効果を上げているのかということについては、私も記事にまとめましたのでよろしければ参考にしてください

自助グループ
このページは「アルコール依存症の自助グループ」です 目次 自助グループ自助グループのメリットとデメリットについてまとめましたAAに興味を持った方へ私の体験を書きました。断酒会での体験です自助グループの...

厚生労働省のアルコール依存症治療についての記事です。

アルコール依存症への対応
アルコール依存症から回復するための唯一の方法は、断酒=一滴も飲まないことです。飲酒問題を認めない「否認」を克服することが回復への第一歩です。自分で飲酒問題に気付くため、家族があまり手助けしすぎない方が良いこともあります。専門医療期間への受診や自助グループへの参加が回復を助けます。

自助グループについての記事です。

全日本断酒連盟
AA日本ゼネラルサービス – AA JapanGeneralService – | AA日本ゼネラルサービス – AA JapanGeneralService – 03-3590-5377
AA日本ゼネラルサービス – AA JapanGeneralService – 03-3590-5377
自助グループ
自助グループはある障害を持つ者同士が互いに励ましあいながら、その障害を様々な形で克服していくための集団です。自助グループの原型は、米国で1930年代に設立されたアルコール依存症者による「AA」です。このAA方式は以後、他の多くの障害にも応用されてきています。アルコール依存症の回復は、断酒継続が大原則です。自助グループへ...

厚生労働省は「飲酒のガイドライン」です。

飲酒のガイドライン
厚生労働省の示す指標では、節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20グラム程度の飲酒ということになります。また女性や高齢者、飲酒後にフラッシング反応を起こす人は、これより飲酒量を少なくすべきであると推奨しています。これらのガイドラインと既存のエビデンスから、健康を守るための12の飲酒ルールを提案します。

断酒・禁酒で薬は違うのか?

断酒・禁酒に関して病院で処方される薬には「抗酒剤」「レグテクト」「セリンクロ」があります

大まかに言えば「抗酒剤」はお酒を飲めなくする薬。「レグテクト」「セリンクロ」は飲酒欲求を低減させる薬です。

どれも依存症そのものを治療する薬ではありません。お酒をやめていく上での補助的な役割を担う薬です

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