アルコール専門病院の入院期間が3か月という理由

この記事は「アルコール専門病院の入院期間が3か月という理由」です

アルコールに依存すると内科や心療内科ではなくアルコール専門病院に行くのがおすすめです。

アルコール専門病院の入院期間ってどれくらいだと思いますか?

入院期間は専門病院の場合は2か月半から3か月くらいが多いです。

驚かれる方が多いと思います。

一般病棟と比べると長いですよね

2か月半から3か月というのは行政からの決まりがあるわけではありません。

しかし、診療報酬の計算が一般病棟とは違うというのが重要な理由のひとつです

さらに大きな理由として、アルコール専門病院での約3カ月の入院期間は、治療効果を重視しているというのがあります

今回の記事ではアルコール専門病院の入院治療に3か月弱必要な理由と「そもそも入院は強制なのか?」ということについてまとめました。

入院期間が3か月の理由

一つは経営上の理由

一般病院アルコール性の肝臓疾患などで入院して、治療が効果を上げ外来受診が可能になれば平均して「19日」くらいで退院になることが多いです。

14日を過ぎると病院の報酬が減るんだなぁ

14日で退院できない患者さんもたくさんいるので平均で計算されます

平均在院日数」という規定があって「平均在院日数」が診療報酬と深くかかわっています。

病院経営のためには適正な日数を維持したいのですが、当然患者によっては病院の都合通りにはいきません。

アルコール依存症は精神科の診療報酬計算をされるので、一般病棟より入院期間が長くなります。

アルコール依存症の場合一定の割合以上3カ月を超える人が入院している場合には「精神科急性期治療病棟」が通らなくなり「診療報酬」が下がるという事情があります

詳しい期間などの条件や計算方法についてはこちら

平均在院日数から見えてくること - 病院情報局
全国の急性期病院の診療実績(患者数、平均在院平均など)を比較
医科診療報酬点数表:第8部 精神科専門療法(分割表示9 I000-I100)
医科診療報酬点数表 第8部精神科専門療法区分番号I000~I100 診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)の一部を次のように改正、令和2年厚生労働省告示第57号等が公布され、令和2年4月1日より適用。文字数が多いため分割表示
精神科急性期治療病棟
高規格で定額医療費制の精神科専門病棟。全国で認可され精神科救急医療体制整備事業を担っている。
A311-2精神科急性期治療病棟入院料(1日につき) - 令和2年度(2020)診療報酬点数 | 今日の臨床サポート
令和2(2020) 診療報酬・保険点数・診療点数は今日の臨床サポートへ・A311-2 精神科急性期治療病棟入院料(1日につき) 1 精神科急性期治療病棟入院料1 イ 30日以内の期間 1,997点 ロ 31日以上の期間 1,665点 2 精神科急性期治療病棟入院料2 イ 30日以内の期間 1,883点 ロ 31日以上の...

最も重視されるのは回復のためのプログラムが3か月だから

しかしなぜ3か月なのかというと治療効果を重視すると3か月近いのが望ましいとされるからです

詳しくはこちら

船橋北病院 | 入院治療
アルコール依存症 当事者が語る実態と回復への道のり - 記事 | NHK ハートネット
2014年に厚生労働省研究班が発表した調査によると、治療が必要なアルコール依存症の患者は全国で推計109万人。一方で治療を受けている人はわずか8万人です。適切な治療や支援につながることで回復可能な病気であるにもかかわらず、一体何がそれを阻んでいるのでしょうか。実際にアルコール依存症から回復した人を通して、その実態に迫り...

入院期間で行われるプログラムとは

最初は解毒をする

最初の1~2週間はアルコールで痛んだ身体面の治療が目的です

解毒プログラムと呼ばれる病院もあり、離脱症状合併症のケアが必要です。

ほとんどの患者は点滴治療を受けます

食事は人によって普通食を食べられる人糖尿食の人おかゆの人など患者さんの体調によって異なります。

最初に起こる変化についてはこちらです

断酒一週間で起こることさらに継続するために知っておきたいヒント
断酒・禁酒には動機が大切。アルコールを抜いて最初の1週間までの効果・体調や気持ち、特に肝臓(γ-GTP)・血圧・体重などの変化。それぞれの場面での失敗しやすいポイントを断酒の経過を中心にまとめました。さらに継続していくためのヒントを最後に書きました。

閉鎖病棟とは?

特に離脱症状では患者の様子が急変することもあるので閉鎖病棟でスタッフがいつでも様子を見守る状態になります

ナースステーションのすぐ近くにある場合が多いです。

アルコール専門病院の閉鎖病棟は病棟の出入り口が常に施錠され、自由に出入りできない病棟です。

スタッフが解錠をしない限り入院患者は出入りできません

私は3回アルコール専門病院に入院しましたが、閉鎖病棟にいる間は、早く解放病棟に移りたい、自由が欲しいと思っていました。

精神科の総合病院一部アルコール依存症の患者も受け入れているような場合は個室の場合もあるようです。

入院を繰り返す人の特徴は?

閉鎖病棟での解毒治療が終了したら開放病棟へ移ります

病院は本人に治療を継続するかどうかの判断をゆだねます。

私の入院した病院は続行が当たり前でした

断酒仲間に聞いた話では最初から解毒目的でも構わないという病院がいくつもあるという話を聞きました。

しかしすぐに戻ってくるそうです

アルコール専門病院の入退院を繰り返す人で最も多いのが体だけ回復したら問題ないというタイプの人です。

私の知っている限りどんな患者も入院生活は苦痛です

ですから患者にはこの先の治療プログラムを拒否できる権利はありますが、医師をはじめスタッフは治療継続を勧めます

私の経験上でも開放病棟に移るタイミングで退院するならアルコール専門病院に入院した意味がないと思います

意味がないと思う理由をこの記事にまとめています。

アルコール専門病院へ行きたがらない人でも納得する5つの理由
お酒をやめられないという病気は精神科です。「お酒をやめられない」という場合はアルコール専門の医療機関を受診するべきです。専門の医療機関では専門医による診療とアルコール依存症という病気について理解するプログラムや再発を防止するプログラムが組まれています。

教育(治療)プログラム(開放病棟)

解毒プログラムが終了したら本格的な教育(治療)プログラムになります。

お酒が抜けても不眠などの神経学的な影響が抜けるには1カ月~2カ月程度かかります

私も少しずつ眠れるようになっていきました。

教育プログラムは6~10週間くらいです。

教育プログラムからは病院によってかなり違いました

開放病棟という一般の病棟に移ります。

病院内の決められた範囲での行動が許可されます

やがて外出・外泊も可能になります

教育プログラムも病院によって前半と後半に分かれているところもあります。

前半と後半を分けている理由は患者の変化に応じて各病院がプログラムを工夫しているからです。

前半はアルコール依存症という病気の知識の吸収が中心でした

私の経験でも飲んでいた頃の自分を冷静に振り返れることができるようになるには一か月くらいかかりました。

まずは基礎知識を習得して回復のための下地を作ります

後半は退院後の生活に備えるのための準備が入っています。

アルコール依存症の本当の意味での治療は退院後です

退院してからでないと本当の回復はありません。

退院後の断酒・回復のためにアルコール専門病院では自助グループを勧めます。

プログラムの後半では退院後につながる自助グループに参加する練習を始めます。

知識の吸収と退院後の回復への準備のためにも離脱症状が抜けた後に2カ月程度が必要となります

アルコール依存症への対応
アルコール依存症から回復するための唯一の方法は、断酒=一滴も飲まないことです。飲酒問題を認めない「否認」を克服することが回復への第一歩です。自分で飲酒問題に気付くため、家族があまり手助けしすぎない方が良いこともあります。専門医療期間への受診や自助グループへの参加が回復を助けます。
キーワード自助グループ
情報提供記事に関連する健康用語を解説しています。

以下の漫画には入院生活が詳しくわかりやすく描かれています。

アル中病棟 吾妻ひでお 失踪日記2
「失踪日記2 アル中病棟」は2013/10/6に発売されたコミックスです。漫画家吾妻ひでおさんの実体験をノンフィクション風にしたマンガです「アルコール依存症って?アルコール専門病院は実際のどんな感じ?断酒の基本的な考え方を知りたい」という方にお勧めの作品です。

入院は強制?入院拒否できる?

精神科の入院は大きく「任意入院」「医療保護入院」「措置入院」があります

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」があります。

精神保健福祉法と略して呼ばれています。

精神保健福祉法の中に入院制度があります。

精神保健福祉法について|国の政策と方向性|メンタルヘルス|厚生労働省
こころの病気についての現状や対策等、国の政策や今後の方向性。

入院制度について 厚生労働省精神・障害保健課

①任意入院

任意入院は患者の同意による入院です

インフォームド・コンセント(患者が医師から十分な情報を得た・伝えられた上で双方の合意)がある入院といいます。

患者の拒否する権利も含まれています

開放病棟で治療を受けることが前提・原則です。

措置入院などの緊急で入院した場合は、離脱症状が落ち着いて閉鎖病棟から開放病棟へ移動するときには任意入院」の手続きをします。

  • 自由なのは日中です
  • 本人が同意した場合は閉鎖病棟へ移ることもあります
  • 任意入院者が退院を申し出た時は原則退院となります
  • ただし、病状悪化等の場合は別です

退院制限

精神保健指定医が診察して入院継続の必要があると認めた場合は「72時間」以内に限り退院制限を行うことができます

特定医師の診察でも12時間以内は患者の退院制限ができます。

入院(任意入院)に際してのお知らせ

任意入院と入院同意

②医療保護入院

自傷他害の恐れはないけれど、強制入院させることが必要と判断される患者の入院です

アルコール依存症など精神科の治療が必要な患者は自分で必要な病院を見つけて受診できない場合があります。

同意者

患者本人の同意が得られない場合でも家族のうちいずれかと市町村長の同意があれば入院させることができます

患者に家族がいない場合は都道府県知事の同意により入院させることができます。

もちろん指定医(一名)が診察して「医療・保護のため入院が必要」と認める必要があります。

期間

その場合は4週間に限られます。

特定医師の診察によって12時間に限って入院させることもできます。

  • アルコール依存症の場合離脱症状からの幻覚などがあります
  • 重症の躁うつ状態もあります
  • 親などが虐待をしている場合は親権停止をして保護する場合もあります

詳しくはこちら

「精神科病院における医療保護入院」を知る!!│人権センターニュースバックナンバーより|認定NPO大阪精神医療人権センター
大阪精神医療人権センターは精神障害者の権利を擁護する活動を行い、安心してかかれる精神医療の実現を目指しています。

③応急入院

自傷他害の恐れがなく、緊急性のある場合入院期間を限って強制入院可能としたのが応急入院です

管理者の権限で強制入院できる点で医療保護入院と同じです。

指定医の判断で72時間以内の入院が可能です。

依頼者は家族ではない同居人やケースワーカーでも構いません

緊急なので家族と連絡がつかない場合です

④措置入院とは

措置入院とは自傷他害の恐れがある患者の入院です

患者または保護者・扶養義務者の同意がなくても都道府県知事(または政令指定都市の市長)権限と責任において強制入院させることができます。

精神科の指定医(ただの精神科医ではない)2名以上が診断をして入院させるかどうかを決めます。

  • 自傷他害の恐れがある場合などです
  • この申請窓口は、地域の保健所(保健福祉センター)です

詳しくはこちら

精神医療は今(1)措置入院患者の退院後の“支援” - 記事 | NHK ハートネット
2016年7月、相模原市の知的障害者施設で19人の命が奪われた殺傷事件。被告は事件前、一時措置入院となっていたものの、その後の状況を把握している人がいませんでした。事件を受け、国はすべての措置入院患者を対象に、退院後の“支援”を強化する方針を示しました。これに対し、当事者からは支援の名の下に“監視”につながるのではと強...

⑤緊急措置入院の期間は72時間

緊急の入院が必要と認めたとき手続を簡素にして72時間を限度として強制入院させるのが緊急措置入院です。

精神保健指定医1名の診断で足ります。

自傷他害の恐れがあるときは措置入院または緊急措置入院です

精神保健福祉に関する制度とサービス | 赤マル福祉合格サポート
国家試験対策 各科目ワンポイントアドバイス「精神保健福祉に関する制度とサービス」のページです。基本的な内容で、なおかつ、国家試験でよく出題されている内容、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、精神保健福祉法、入院形態、任意入院、医療保護入院、措置入院。赤マル福祉は、介護福祉士や社会福祉士、精神保健福祉士など福祉系資格...

費用は?

具体的な入院費用や入院前・退院後の生活をサポートする制度の紹介はこちらです。

アルコール依存症の傷病手当金と専門病院の入院費用
この記事では、アルコール依存症の方に知っておいていただきたい傷病手当金と専門病院の入院費用について紹介します。高額療養費制度・傷病手当金・障害者総合支援法など。患者目線で役に立ったことや、困ったことについてまとめました。

参考記事

症状
アルコールを飲むと様々な身体的な症状が出ます 適量ならばアルコールは問題がないという医師もいます。 しかし、今は食事も運動も健康を増進するためのいい方法は発見され、多様な商品・サービスが提供されています ...


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