断酒するとポン酢とマヨネーズを好きになるのはなぜ?

この記事は「断酒するとポン酢とマヨネーズを好きになるのはなぜ?」です

結論は「依存症になった脳がお酢をエネルギー源にするからです

断酒をするとポン酢やマヨネーズを好きになりませんか

あるいは大酒を飲むようになったころから酢の物好きになった人も多いかもしれません。

私はアルコール専門病院に入院中「マイポン酢」や「マイマヨネーズ」を食事の時に持ってくる人を何人か見ました。

白いご飯にポン酢とマヨネーズと一味唐辛子をかけていた患者さんがいたね

やはり酒飲みはポン酢やマヨネーズ・酢のものが好きですよね。

断酒仲間で「二日酔いに酢は効くから飲んでいた」と言っている人もいます。

元AKB48の前田敦子さんが大のお酢好きと「櫻井・有吉THE夜会」(TBS系)に出演時告白していたそうです。その時ある内科医が語っていました。

アルコール依存症が進むと、脳が萎縮して…この時、体は低血糖に…症状が進行してしまうと体がお酢を欲するように…脳にダメージを与えてしまいます」下記の記事から引用

前田敦子、常軌を逸した「お酢好き」告白でアルコール依存症の疑いが浮上! | アサ芸プラス
ネットで読めるアサヒ芸能「アサ芸プラス」

この記事を読んで私には思い当たることがありました

私は断酒とスリップを繰り返していた頃「酢をグラスに入れて飲む」ことに「はまった」時期がありました。

その時は「微量(0.2%)とはいえアルコールが含まれてるから飲みたくなるのかな?」と思っていました。

しかし、これは違いました。

大量に飲酒するとブドウ糖ではなく酒の分解によって生まれる酢酸エネルギー源として消費するように変化してしまうという論文がありました。

私は依存症になって変化した脳の命令に従って脳のエネルギー源として酢を飲んでいたのです

アルコール依存症になると脳はお酢をエネルギーにするという論文

以下の論文をから引用しました。

Increased brain uptake and oxidation of acetate in heavy drinkers
When a person consumes ethanol, the body quickly begins to convert it to acetic acid, which circulates in the blood and can serve as a source of energy for the ...

飲酒をずっと継続すると脳の神経細胞は、アルコールを代謝するときに生まれる酢酸をエネルギー源として利用するように変わってしまうという論文です

実験

被験者は7人ずつのグループが2つで合計14人です

僕たちは週に少なくとも8ドリンクを飲み、そして週に少なくとも1日は4ドリンクを定期的に消費する7人のヘビードリンカー

俺たちは週に2ドリンク未満の飲酒をする7人のライトドリンカー

ちなみに1ドリンクは純アルコールに換算すると20g

ビールなら中びん1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、ウイスキーならダブル1杯(60ml)、焼酎なら0.6合(110ml)ぐらいだね

つまり僕たちは、1週間の合計で最低ビール(中)を8本以上飲んで、週に1日は4本以上飲む日がある7人のグループです。たくさん飲む人もいるよ(ヘビードリンカー

俺たちは最も飲んでいる人でも1週間でビール(中)を2本までしか飲まないグループです(ライトドリンカー

そして酢酸([2-13C]アセテート)をそれぞれの被験者に静脈内投与します。
酢酸お酢に4~5%程度含まれる酸味の元になる成分です。

つまりお酢を静脈(心臓に血液を運ぶ血管)に注射するということです

2時間MRスペクトロスコピー(核磁気共鳴画像法 (MRI) の手法のひとつ)を使って脳内の酢酸の代謝スピード、N-アセチルアスパラギン酸(NAA)、グルタミン酸塩、グルタミン、アセテートを観察しました。

脳内のお酢の代謝を観察しました

結果

ヘビードリンカーは血液と比べて2倍の脳酢酸塩(酢酸の濃度)を持ち、ライトドリンカーより2倍以上標識されたグルタミン酸(labeled glutamate )とグルタミン(glutamine)の濃度になりました。

結果はたくさん飲む人のほうが脳が酢酸を神経細胞内に移動させ、酸化させることが分かりました

大まかに説明するとアルコールを飲み続けると、脳の神経細胞は酢酸をエネルギー源として利用するように変化してしまうということです

ブドウ糖とは?

ブドウ糖(グルコース )は、脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質で、人体にとっても重要な栄養素です

果実やはちみつ・穀物類に多く含まれる単糖類の1つです

炭水化物(糖質)は消化吸収(消化酵素によって分解・消化そして腸で吸収)されブドウ糖に分解されエネルギーになります

糖質は脂質よりも早く分解吸収されます。だから素早くエネルギーを補給するのに適しています

脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖

脳がエネルギーとして使える唯一の物質はブドウ糖です

脳には「血液脳関門」があります

これは血液中の「脳にとって有害な物質」が脳内に侵入するのを防ぐ働きをしています。

脳は血液脳関門で厳しいチェックを行い、エネルギー栄養素としてはブドウ糖以外のものは通しません

ですからブドウ糖は脳の唯一の栄養素です。成人の脳は1日に約120gのブドウ糖を消費します

血液脳関門についての説明はこちら

アルコールが原因の脳萎縮を知ると、お酒をやめるたくなる
アルコールが原因の脳委縮の症状を画像を載せ、実際に診断された自分自身の体験も含めて書きました。なぜ委縮するのか、飲酒量との関係、反対意見、自分自身が回復するためにやった方法を書いています。
ブドウ糖
自然界に最も多く存在する代表的な単糖類。動植物が活動するためのエネルギーとなる。 脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質で、人体にとっても重要な栄養素。

飢餓状態などでは例外的にケトン体が働く

例外的にケトン体が働くことがあります。

ケトン体は、糖尿病絶食などで脳のエネルギー源である糖質が利用できない時に代わりのエネルギー源として使われます。

新生児の場合は母親が糖質を過剰に摂取していると問題があるためか、大人よりはるかに高い数値でも大丈夫になっています。

脂肪酸がケトン体となって働く仕組みはこちら

医療法人社団 満岡内科・循環器クリニック

つまり脳はブドウ糖がなくなるとケトン体をエネルギー源にするんだね

大量飲酒を継続すると脳はお酢をエネルギーに使うようになる

実験結果から飲酒習慣継続されると酢酸神経細胞内移動させてブドウ糖代わりエネルギーとして利用するようになったと報告しています。

つまり酒飲みの脳はブドウ糖ではなくて、お酢ばかり優先してエネルギーにしてるってことだな

飲酒すると血糖値下がり、ブドウ糖肝臓から血中へ放出されにくくなります。その結果血糖値が下がります

そこでブドウ糖が減った脳は酢酸を代わりに使い、アルコールによって起こる低血糖に対応しているということです

そしてその状態がずっと続くと脳がお酢を優先するように変わっていくんだね

この記事の冒頭で「二日酔いに酢は効く」と言っていた断酒仲間について書きましたが、どうやらアルコール依存症ならばそれもあながち間違いとは言えないかもしれません

酢酸はどうやって脳へ運ばれる?

アルコールはほとんど肝臓で代謝されます

80%がアルコール脱水素酵素(ADH)を介してアセトアルデヒド(二日酔いの原因)になり、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸へと分解されます。

アルコールが肝臓で代謝される途中でお酢の元(酢酸)ができるんだね

酢酸は血液により全身へめぐります
このアルコール代謝する途中でできた酢酸血液中からへ届きブドウ糖の代わりをするようになったということです。

お酒を代謝する途中でできたお酢が脳で使われたのか

この論文の結論は「我々のヘビードリンカーにおける発見は、離脱症状を軽減するための(アルコールの)解毒中に酢酸そして、あるいはアデノシンのサポートの提供を示唆することにより、アルコール依存症の患者の治療に潜在的に有用な情報を提供します」とあります。

要するにアルコール依存症の離脱症状を解毒する治療にお酢(酢酸)を使った新しい方法があるかもしれないということです

原文は
Our findings in heavy drinkers provide potentially useful information in treatment of alcohol-dependent subjects by suggesting the provision of acetate and/or adenosinergic support during detoxification to alleviate withdrawal symptoms.「Increased brain uptake and oxidation of acetate in heavy drinkers」より引用

断酒するとお酢が欲しくなる理由は依存症になった脳がお酢をエネルギー源にしていたから

まとめると

沢山お酒を飲むと脳は低血糖になり、脳のエネルギー源であるブドウ糖が減る

しかし肝臓でアルコールを代謝する途中で生まれたお酢の元(酢酸)を脳は使う

アルコール依存症の脳はお酢の元(酢酸)どんどん取り込んで利用している

ケトン体のように非常時(飢餓)ではなく積極的に酢酸を使うようになるんだね

論文では以下のように主張しています
  • 大量飲酒を繰り返すと、脳が酢酸ばかりを消費するようになる。
  • 脳がブドウ糖の代わりに酢酸で対応するメカニズムがどんどん促進されるから大量飲酒は非常に危険である。
  • また酒を飲む時は食事も摂ってブドウ糖を減少させないようにすることが大切だ。

アルコール依存状態で脳は酢酸ばかりを優先して、ブドウ糖は後回しにしていました

しかし断酒すると肝臓からの酢酸の供給がなくなります

ですから断酒するとお酢が欲しくなるというメカニズムです

酢を有効利用して離脱症状緩和に役立てるかもしれない

この記事のもとになった論文が正しいとすれば、記事冒頭の私や断酒仲間、また前田敦子さんの記事は正しかったといえるかもしれません

つまり大酒飲みだけど「俺はアルコール依存症ではない」と言い張っている人でも、ポン酢・マヨネーズをかけすぎていたり、酢の物が好きすぎる場合は「アルコール依存症の疑いあり」と説得できる材料が一つ増えることになります。

そして離脱症状の時に「お酢を飲む」ことによって和らぐなら体への負担は楽になるのではないでしょうか?

というのも今は離脱時にはベンゾジアゼピン系の薬が処方されますが、私や断酒仲間の経験上副作用が強いのはよく知られています。


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