
この記事は「酒飲みの夫にとってしまう無駄な習慣 イネイブラーになっていませんか?」です

結論は「小言・かばう・尻拭い・世話を焼くことをやめる」です
酒飲みの夫に手を焼いていませんか?
夫が習慣的に酒を飲む人なら、いくら禁酒を誓っても、たとえ断酒の誓約書を書いてもやがて破られます。
恐らく「一日2杯にしてね」「休肝日は守ってね」とお願いしても、それがしばらくは守られても、アルコールには依存性があるのでやがて破られていきます。
今は会社に行き、きちんと仕事をしているように見えても記憶をなくすタイプや時々昼酒をする人はどこかで逆戻りできない可能性が高く、そうなってからでは手遅れなのがアルコールの怖さです。

お酒さえ飲まなければいい夫なのに…
本人は聞く耳を持ちません。

実は奥さんが良かれと思って取っている態度が、酒飲みの夫には逆効果なことがよくあります

酒飲みの夫のことで悩んでいる奥さんは「無駄な習慣」をやめることで、事態を好転させることができます
夫に対して小言・かばう・尻拭い・世話焼きなどをしていませんか?
もしそうなら、そういった行為をやめることが、事態を好転させるかもしれません。
と言っても我慢の勧めではありません。
「酔っているときは別人格だから」など奥さんだけが寛容にならなければいけないと思い、無用な衝突を避けようとし続ければ奥さん自身のメンタルに限界がやって来ます。
具体的な効果的な方法について書きました。
無駄な習慣(イネイブリング)の具体例
無駄な習慣|小言

家族にとっては善意でも本人には「小言」
家族は小言を言っているつもりはありません。
- 家族は「助言」「当然の要求」「依頼」「要望」のつもりです
- しかし、酒飲みの夫には「指示」「指導」「説教」「叱責」と受け止められています
- 家族からは善意から出ている言葉でも、酒飲みの夫には単なる「小言」になります
例えば夫が今晩も酔って帰ってきました。
奥さんは、夫の酒がどれだけ生活を圧迫し、台無しにしているかをわからせようとします。(小言)

当然の権利。あったりまえだよ!!
ところが、夫は拒絶・無視などをして寝てしまいます。
奥さんがどれだけ説得しようと頑張っても、夫の拒絶・無視パターンは続きます。
- 夫が酔って遅く帰っても、妻が遅くまで起きて待っている。
- 妻としては心配です。あるいは腹が立つけど仕方がないことかもしれません。

夫は、遅くまで待っていることを妻の屈折した愛情表現であると受け止めます

はぁ?愛情表現だぁ?

小言は自分の飲酒行為を認めてくれていると受け取られる
つまり「小言」と引き換えに、自分の飲酒行為を認めてくれていると受け取られています。
- 嘘だと思われるかもしれませんが、酒飲みの夫(私もそうでした)は「俺は酒で家族に迷惑をかけたことはない」と言い張ります
- 「奥さんの気持ちを考えたことがありますか?」と尋ねると「細かいことをいちいち言うな。俺だって仕事で疲れているんだ」と逆切れします
ほったらかしにされる不安が底つきへの第一歩
夫の立場として、いつも待ってくれていた妻が先に寝ていると「不安」になります。

その場ではしめしめと思い、さらに飲む場合もあるかもしれません

しかし先に寝ることが続けば、必ず不安のリアクションを始めます
夫の性格によって「威圧タイプ」「ご機嫌伺いタイプ」などに分かれると思いますが、いずれにしても心の中に不安が生まれます。
生まれてくる不安が底つきへの第一歩です。底つきについては後程説明します。
- 「ひょっとしたら俺は悪いことをしているのかな?」という気づきの第一歩が訪れます
- 原因が自分にあると認めるようになると「底つき」から「回復」へ向かい始めます
- もちろん一日ぐらいでは改心しません。あくまで第一歩です…
小言を言わないための対策
まずとりかかるのは「妻自身が本当は夫に何を求めているかをよく考える」ことです
- 傷ついていることを知ってほしいのか?
- 夫の行動を変えたいのか?

「私は~思う(感じる)」だけを伝える
- ただし酔っぱらっている相手に訴えても無駄です。
- 主張は通らず、相手の感情を逆なでするだけなので、別な機会を設けます。
しかし、黙って我慢しているだけでは妻の精神衛生上よくありません。

ポイントは「一度に一つの内容」にしぼることです
- 「あなたが外でお酒を飲んでいると私は悲しい」
- 「家族団らんの時に、あなたがいないなんて私は寂しい」
- 「私はすごく心配した」
- 「私はどうしていいかわからなくなった」
夫の酔いがさめた落ち着いた状況で話すのが大切です
肯定的な言葉で「今後どうしてほしいのか」「自分はどうするつもりか」を話します。

心配して待っていると、どうしていいかわからなくなるから、先に寝かせてね

ポイントをおさらいします
- 「私は~思う(感じる)」だけを伝える
- 「一度に一つの内容」にしぼる
- 夫の酔いがさめた落ち着いた状況で話す
無駄な習慣|かばう・尻拭いする・世話を焼く
- 大切な人をかばう・世話を焼く・庇護をするのは、一般的には良いこととされます。
- 夫をかばうことは、夫の飲酒を支持しているのと同じことになります
- その理由は、夫が自分の不始末の結果に対する責任を取らずに、飲酒を続けられるからです
二日酔いの夫のために、妻が欠勤の連絡を会社にするとします。
夫は、頭痛と吐き気をこらえて出勤する必要がなくなります。
電話をかけるために早起きする必要がなくなります。
電話を掛けなければ、無断欠勤です。
その後会社へ行ってから嘘をついたり、取り繕ったり、恥ずかしい思いをしたりする必要がなくなります。

今後も安心して二日酔いになれます

責任を取らさなきゃ!!

夫を本当に助けたいのなら、かばったり、尻拭いをしてはいけません
- 「家でお酒を買っておくと、外で飲む回数が減る。経済的だし、飲酒運転の心配もない」
- 「二日酔いの時、病欠の連絡をすれば、解雇されない」

これらは一見論理的ですが、逆効果です
夫のために酒を買うという行為は、飲酒を認めている意思表示になってしまいます。
夫を守っているつもりが、火に油を注ぐことになってしまいます
かばう・尻拭いする・世話を焼くの対策

唯一の対策は、そのままにしておくことです
- 酔って寝込んでもそのままです。
- 壊したものも片づけず、そのままです。子供が小さい場合は、危険でない最小限の片づけにします。
- 二日酔いでも会社に連絡はせず、そのままです。
- 借金の肩代わりはしません。そのままです。保証人になっていなければ、家族に返済義務はありません。

もし借金をしつこく催促されたら、警察に届けましょう

家族が返済すると、本人は再び借金することが可能になってしまいます
行動を管理することはできません
- 夜中に飲み屋まで迎えに行く
- 上司に電話をかけ「弁明」する
- たまっているつけを代わりに払う
- 家族や近所の集まりに参加しないのを他の人に言い訳する
- 他人に無礼な態度をとったことの言い訳をする
- 紛失したものを一緒に探した
- 酔って汚した服を洗濯した
- 二日酔いの看病をした
- 二日酔いに効く食事を作った
- 酔った時のけがの手当てをした
- 子供や実家の親から飲酒問題を隠した
- 目が覚めて罪悪感や後悔の念を抱いている本人をなぐさめた
- 依存症者の酒による出費を補うために、自分が節約した
いくら見張っても夫の行動は家族の思うようにはなりません
飲むかどうかを決めるのは本人以外にはできません
家族にできることは、一つは「暴力から逃れる」ことです
あとは前述したとおり、落ち着いた状況で、必要最低限の内容を伝えることです
イネイブラー・イネイブリングとは?

夫が飲み続ける生活を維持・可能にする行為を「イネイブリング」それをする周囲の人を「イネイブラー」と言います
これは英語の「enable」(可能にする)からきています。

妻が世話を焼くことが夫の飲酒生活を可能にするということですね
妻としては夫の健康を気遣ったり、経済的損失を減らしたいです。
しかし夫の飲酒が原因の失敗・事故・損失・事件に対する妻の行動は結果的に夫が再びお酒を飲むことを可能にします。
- 世間一般の常識では夫を世話するのは妻の務めかもしれません
- ところが妻以外の家族・友人・同僚・上司であっても、本人を大切に思っている人ほどイネイブラーになりやすくなります
イネイブリングが無駄な理由は断酒の機会を奪うから
お酒をやめるために必要な体験

夫がお酒をやめるために必要なのは「もうだめだ。どうしようもなくなった。生きていけない。助けてください」と感じることです
「もうだめだ」と感じる体験を底つき体験と言います。
イネイブリングは断酒の機会を奪う
家族にとって皮肉なのは「夫に酒をやめてほしい」と思いながら結果として逆の結果となることです。
家族が「底つき体験」の機会を奪う行為を、無意識のうちに行ってしまうところにあります
知っておきたい言葉|共依存とイネイブリングとは?
「なぜ夫のフォローをすることが悪いのか?」と思われている方も多いと思います。

これには「共依存」という考えを理解する必要があります
この考えのもとには「家族システム論」「家族療法」という考え方があります。
この考えで行動していくのが現在は最も効果が高いとされています。
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家族システム論的アプローチによって家族の何が明らかになるのか。
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