
この記事は「キッチンドリンカーは危ない」です

結論は「女性の断酒はよりきめ細かな配慮が必要」です
「キッチンドリンカー」という言葉はご存知ですか?
- 何となくわかってもどこからが「キッチンドリンカー」と呼ばれるのか?
- アルコールを飲みながら揚げ物などをしたら危ないのではないか?
料理を作りながらお酒に手が出てしまって…というのが、私がイメージしていたキッチンドリンカーですが、言葉の定義は少し違うようです。
女性向けのお酒の種類は増えましたよね。お酒を飲む機会も増えました。
最近は女性とお酒の付き合い方がずいぶん変わってきたように思います。
- 女子会やパーティー、ママ友との付き合い。
- 昔に比べると女性の社会進出は進んでいます。
- 接待などでお酒を飲む機会も増えてきています。
それでも女性がお酒を飲むことについては、まだまだ世間の目は厳しいです。

女性は男性と比べると短期間でアルコールに依存します
また女性の断酒・禁酒はさまざまな問題があり、難しいのが現実です。
「酔わなければ問題はない」から「飲まなければ家事がはかどらない」やがて「家事の放棄」までの距離は意外に短く、後戻りは困難です。
今回のブログ記事は女性の飲酒について「最低限知っておいていただければ」についてまとめました。
キッチンドリンカーはアルコール依存症につながる
キッチンドリンカーの意味

キッチンドリンカーはもともとアメリカ発です
主婦はキッチンで料理をしますが、調理にはお酒を使います。
調理用のお酒を味見しているうちに…と言われていました。
厚生労働省が定義している「キッチンドリンカー」の意味は以下の通りです。
主に女性が家事をしながら飲酒することで、やめられなくなり依存症につながっていく行動パターン。
女性が家事をしながら飲酒する形態の象徴的なもので、飲酒量の増加やかくれ飲みにつながり、アルコール依存症と関連するものです。わが国でもキッチンドリンカーは増えており、その飲酒コントロール困難性を考えると、そうした飲酒者は高い確率でアルコール依存症者であるとみられます。このような飲酒形式の中止を呼びかけ、中止できない症例は依存症専門病院の受診をすすめる必要もあります
eヘルスネットより引用
厚生労働省はキッチンドリンカーを「やめられなくなり依存症につながっていく行動パターン」「アルコール依存症と関連するもの」と定義しています。
また「そうした飲酒者は高い確率でアルコール依存症者である」「依存症専門病院の受診をすすめる必要もあります」と高い注意喚起をしています。
- 料理しながら飲んでいるだけではキッチンドランカーとは呼びません
- 飲み方が病的になるとキッチンドランカーの定義に当てはまります

アルコール依存症なのかどうかは、個々に診断を受けなければわかりません
記事で初めて「キッチンドリンカー」を知った人も多い
以前元モーニング娘の吉澤ひとみさんが道路交通法違反と自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷罪)で起訴された報道記事で「キッチンドリンカー」を知った方も多いかもしれません。
ちなみにキッチンドリンカーは和製英語です。
概念はアメリカ発ですが、「kitchen drinker」言葉としては使いません。
台所で飲んでいる人くらいの意味なので、状況によっては通じるかもしれませんがネイティブは使わないと思います。
She likes to drink a lot while she’s in the kitchen. くらいの意味だと思います。
キッチンドリンカーになる原因は?
女性の飲酒人口の増加はキッチンドリンカーの入り口
女性の飲酒人口が増えている理由は

女性の社会進出

核家族で昔と比べると主婦が一人で家にいる機会が多くなっている

女性だけの飲み会が増えた。女子学生の飲み会もある
厚生労働省の調査では
- 男性の習慣飲酒者は減少しているが女性では逆に増加している。
- 特に出産・育児年代に当たる20代30代では大きく増加している。
- これらのことから若い女性が以前より飲酒するようになっていると考えられ、将来の飲酒問題の悪化が懸念される。
お酒のメーカーが女性向けの商品を多数販売しているのがキッチンドリンカーを生む
ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院准教授のデイビット・ジェルニガンは「強力なマーケティングの力」で女性向けの甘いお酒がこの20年販売されてきたと主張しています。

確かにこれは私も実感しています
私は断酒して12年半になるので、最近のお酒事情には疎くなっていますが「りんごの芳醇な香りと甘味」「甘い日本酒のスパークリング」「チョコレートカクテル」「ヨーグルトリキュール」など印象に残る広告はありました。
- お洒落で遊び心のあるボトル
- 梅酒のイメージもずいぶん変わりました

酔いを求めるのではなく、女性ばかりのちょっとした集まりでもテーブルの上にあるだけで話題が弾みそうです
キッチンで飲むようになるきっかけは子育てのストレスが多い
夕食を作りながら、アルコールを飲む女性はけっこういます。
- きっかけは様々。事情も一つだけではなく、悩みが二つ三つと重なることも多いようです
- 様々な人間関係・(未婚既婚に限らず)寂しさ・将来への不安・モラハラやセクハラ・体調・忙しすぎて余裕がない・やりがいがないなど

悩みがあるとお酒は癖になってしまいます
キッチンドリンカーは隠れて飲める
お酒にハマる理由はともあれ、キッチンは女性の城。隠れ飲みの場所です。
先ほども書きましたが女性がお酒を飲める環境は整いつつあります。
とは言え、まだ男性と同じように人前で堂々と飲める人は少ないと思います。
- 自分の「城」である台所は飲酒のきっかけとなりやすいです
- キッチンはお酒をこっそり手にすることも簡単な場所です
- 誰も気がつかないうちに、問題飲酒が進行していきます

女性はおしゃべりが大好きですから、一人で黙々とお酒を飲むのはかなり危ないと思います
アルコールがすぐ手にできる環境は危険

男性でも飲食店勤務経験者のアルコール依存症者は多いです
仕事で使っているのか、自分が飲んでいるのか紛らわしいという点は、キッチンドリンカーと同じかもしれません。
子育てというストレスからアルコールに依存するキッチンドリンカー

私は自助グループで「子育て」がきっかけになる人の体験談を聞くことがありますが、最近は少しパターンが変わってきている気がします

独身時代に経験したお酒を「妊娠中」は我慢していても子育てのストレスから手を出すケースが増えているようです
私がアルコールの自助グループでよく聞く体験談です。(特定の人の体験談ではありません。よく聞く話をミックスさせた架空体験談です。あしからず)
今まで多かった子育てからキッチンドリンカーへの架空体験談

以前から時々お酒を飲んでいたけど、毎日飲むようになったのは、上の子が高校に入学してから

他にも中2と小6の子供がいます

フルタイムで勤務しているのと、反抗期、家事の忙しさから、夕食を作りながら飲むようになりました
- ストレスがあり、完全にやめるわけにはいきません。
- やがて仕事が終わると、まずお酒を買って飲むようになりました。
- そのうち午後三時くらいから職場のトイレで隠れて飲むようになり、頭の中はどうやったら見つからずに飲めるか、ということばかりを考えるようになってしまいました
最近聞いた育児疲れからキッチンドリンカーへの架空体験談

初めての育児でどうしていいかわからない。育児書を読みながら一人で悩みを抱え込んでいました
- 子供を寝かしつけて、その間に夕食の準備。急がなければという気持ちと裏腹に、ついお酒に手が出てしまう
- 最初は、酎ハイ350ml1本だったのが、やがてストロング缶(9%)500ml3本に
お子さんが小学校低学年のキッチンドリンカーの架空体験談
子供が学校に行っている間に、家事と独身時代仕事で覚えたWebデザインの在宅ワークをすませる。

夫からは仕事はしないでくれと言われていた。しかし昔から打ち込んでいた仕事ができなくなるのは、とてもつらかった
- ランサーズやクラウドワークスからの受注なので収入はわずかだが充実感はあった。
- 最初は食事を作りながらだったが、そのうち食後も
- 子供をお風呂に入れられず、夫に説教されるようになる
- やがて仕事も家事も子育てもできなり、苦しさを忘れようと酔いつぶれるようになった。
そもそもキッチンドリンカーはほろ酔い状態で家事はできるのか?
冒頭でも書きましたが、
- お酒を飲みながら家事をすると問題があるのではないか?
- そもそも酔っていて家事ができるのか?
もちろん飲まないほうがいいのにきまっています。

しかし「少し飲んだ方が家事がはかどる」とよく聞きます
料理だけでなく、洗濯、掃除、子供の世話など。

飲みすぎればダメだけど、ほろ酔い状態のほうがうまくいくよ
以下の記事でほろ酔い状態では頭の回転が速くなる?」と書きました。「少しの家事ならお酒を飲んでいても可能かもしれない?」ことを裏づけるかもしれません。

キッチンドリンカーは短期間で依存症になる
女性の体質はアルコールに弱い
女性の身体はお酒に弱いです。
- 肝硬変は男性より10歳以上も若く、飲酒量も半分程度であると研究で示されています。
- 女性の体と肝臓は小さいのでアルコールの分解スピードが遅くなります。
- 女性は体脂肪が多く、体内の水分量が男性より少ないので、血中アルコール濃度が高くなります。

つまり女性の体には高濃度のアルコールが、体内に長く留まりやすい

ですから、酔いやすく、肝臓に大きな負担がかかります
こういった理由から、女性は短期間で依存症になります。
キッチンドリンカーにはよりきめ細かな配慮が必要
アメシスト(女性依存症者)の治療は時間がかかる
断酒は単にお酒を飲まないというだけでは継続が難しいです。
アルコールの力を借りずに毎日の生活を心身ともに充実させるのがカギになります。
アルコール依存症の断酒・回復という意味では基本的に女性と男性は同じだと思います。
しかし、アルコール専門病院で「女性の治療は難しい」とよく聞きます
- 女性の依存症者の特徴は、摂食障害やうつ、自殺未遂など様々な精神的問題を抱えていることが多いです
- 男性と比べると環境に大きく影響される面があります。そして一般的に自分を責める傾向が強いという面もあります
飲酒の機会は女性に開かれつつありますが、まだまだ女性は罪悪感を強く感じています。

受診の妨げとして、女性のアルコール依存症は、男性以上に周囲の偏見が強いこともあるでしょう
受診や治療に二の足を踏むケースも多いことから、男性よりも複雑化しやすい傾向にあります。
女性でバリバリ仕事をする人は男性に負けたくないというタイプが多いので、女性が安心して心を穏やかにできる場所を作るのは簡単ではないようです。

しかし私はアメシスト例会が盛んになってほしいですし、それ以外にもいろいろな癒しのコミュニティが増えてくれることを望みます