
この記事は「私が思うアルコール依存症自助グループのメリット・デメリット」です

結論は「お勧めはするが無理強いするつもりはない」です
依存症の自助グループはご存じでしょうか?
病院で依存症の治療を受けた経験のある方はAAや断酒会のミーティング・例会の参加を勧められたかもしれません。
私が初めてアルコール専門病院に入院した時には、医師から断酒の三本柱として「通院」「抗酒剤(断酒補助薬)」「自助グループ」が大切だと言われました。
ただ実際はどんなところ? という方も多いようです。

どうして自助グループへ行かなきゃいけないの?

体験を語ってどんな効果があるの?
- アルコール専門病院では自助グループを勧められますが、私は自助グループは大嫌いでした
- しかし最終的には、自助グループのおかげで断酒ができるようになりました
- そして現在は活動がほぼ停滞中です
私は自助グループが好きな人の気持ちも嫌いな人の気持ちも分かるつもりです。

そんな私から見た自助グループのメリットとデメリットをまとめました
参加するとアルコールに依存している本人の断酒だけでなく家族の回復にとっても効果があります。
集まっているのは全員当事者(家族の場合は家族)です。
やはり断酒の成功例をリアルに見て感じるのはとても大きな力になります。
そして素面で安心して苦しい・辛いと言える場所があるのは本人と家族にとって救いになります。
しかし、自己中心的な人の集まりなので、特に人間関係においては運・不運があるのは事実です。
自助グループとは
自助グループはある障害を持つ者同士が互いに励ましあいながら、その障害を様々な形で克服していくための集団です。eヘルスネットより引用

同じ病気や悩みを持つ当事者の集まりです

運営も専門家・第三者に任せずに自分たちで行っています
- 自助グループの最大の特徴は「体験の共有・分かち合い」です。
- そして例えば病院のように治療者(医師)と 被治療者(患者)という縦の関係ではなく水平な平等関係でお互いを「仲間」と呼びます。
- 誰かに強制されるのではなく自発的な参加が基本です。
自助グループの一覧はこちらです。

自助グループの効果
数字で示される効果

アルコールの場合は治療目標は断酒が基本です
- 断酒と禁酒の違いは依存症の治療ということであれば「生涯断酒(一生飲まない)」ことが断酒の意味に含まれます。
- そのためにアルコール依存症の治療はアルコール専門病院と自助グループの両方で一生飲まないで回復を目指すのが医療機関の基本的な考え方です。

医療機関の断酒率のデータです。どれも自助グループの高い効果を示しています。難点は被験者が少ないことです
アルコール依存症で入院加療二年予後調査:日本の伝統的断酒 3本柱について
数字で示されない効果

しかし自助グループの効果は断酒率のように数字で表されるばかりではありません

「回復」という言葉にはお酒を飲んでいないという以上の意味が含まれています
それは自助グループにはEAのように数字で測定不能な悩みを持ち、それが具体的に医療機関で治療を受ける対象になっているグループがたくさんあります。
「ドライ・ドランク」が嗜癖行動の改善につながるという記事です
私の体験から考える自助グループのメリット
共有によって断酒ができる
断酒の敵「否認」を仲間の姿を通して打ち破れる

依存症からの回復・アルコールの場合は断酒ですが最大の関門は「否認の克服」です
- 私の経験上否認をたった独りで認めるのは困難だと思います
- 実際に断酒継続をしていて「この人は本当に自分と同じアル中なのだろうか?」という人々の姿を数多く見るのが断酒の敵「否認」を打ち破るのに手っ取り早いと思います
こちらの記事で私が初めてAAに参加した時の体験を書きました。

「酒に対して無力である」という苦しさを共有できる

自助グループでは「無力」は嗜癖をやめるための最初の前提条件です

酒に対して無力であるというのも活字だけで理解するのは難しいですね
なぜ無力であることが断酒に必要なのかをまとめました。

底つきを早く体験できる

自助グループでは「無力」であることを認め、断酒のスタートを始める体験を「底つき」と言います
- 「節酒で構わない」「上手に飲めるはずだ」という意識から「断酒しかない」ということを受け入れ、断酒を実践するきっかけが「底つき体験」です。
- 自助グループで他人の姿・体験談から早く「底つき体験」が得られます
自助グループで底つき体験を早くできる方法について書きました。

自助グループで同じ境遇の仲間を知って内面の成長を確認できる

私は否認が破れ自分の過ちを認め始めると今度は自分を否定し始める依存症者を自助グループでよく見かけます
- 事実はどうか、それらは正しいのかというと本当は違います。
- 自分のマイナス点を拡大して見える眼鏡を、わざわざかけていることが大半だと思います。
私も自助グループで他人の姿から自分の姿を知ることは成長・回復につながりました。

自分にとっての一大事を語っても、他人にとっては「ふーん」というよくある出来事でしかありませんでした
そう言ったことの積み重ねの中から孤独感から解放されていくのを実感できました。
- 私が自助グループに参加して良かったなと思うのは、自分とタイプの違う、考え方の違う人の話をだんだん聞けるようになったことです
- 自分から積極的に自助グループに参加するようになってからは「あんな風に語れたらいいな」「回復している人ってあんな人なのかな?」と憧れに近い気持ちを持ちました
希望を持てると成長が望めます
私の体験から考える自助グループのデメリット
自助グループの最初の印象は最悪で、私は「断酒の方法」知りたかった

私が最初のうち自助グループに求めていたのは「断酒の方法」でした
誰もができるだけ早くアルコール問題を解決したいと思っています。
私も同じです。

しかし、自助グループはノウハウを伝授する場所ではありません
人間関係でトラブルは避けられない
自助グループでの人間関係は調和している例会・ミーティングも数多くあります。
しかしトラブルが多いのは現実です。
当事者ばかりなので安心できるという大きなメリットの裏に、人間関係が未熟だったり、長年の飲酒で孤独癖や自己中がこびりついている人が多いのも事実です。
つまり自分に似た境遇の人が多いというのがメリットであり、デメリットになりえるという事です。

もし今、理不尽な人間関係で悩んでいるなら行かないほうがいいと思います
原則は酒をやめたいと思う人で「自助グループに行くことが自分にとって成長になるから行きたい」という本人の意思が尊重されるべきだと思います。
- 仕事なら生活のためには我慢することもあるでしょう。しかし、自助グループは自主的に参加することが基本です
- 仕事の人間関係で疲れ、自助グループの人間関係で疲れたらスリップしてしまいます

私は無理強いには反対です。違う例会・ミーティングを探すか、Twitterなどを使うのも手だと思います
日常生活の時間を奪われる
例会やミーティングには時間が必要になります。

最初は酒を止めなければいけないので、自助グループに参加していても1年経ち2年経てば徐々に減ってきます
アルコール依存症は断酒が原則ですが、断酒後の生き方は様々です。

せっかく酒をやめたのだから失ったものを取り返したいのは当然の感情でしょう

アルコール依存症にはもともと真面目な人が多いので仕事や家事と自助グループの両立で悩む人は多くいます
- 私も再就職をきっかけに参加する回数はうんと減りました。
- 妻の介護が始まってからはさらに減りました。
- 介護ヘルパーさんにだんだん任せられるようになってきたので、その時間でブログを書けるようになりました。
- 最初は自助グループへ行こうと思っていましたが、寝ている横でブログを書いている方が妻が喜ぶのでしばらくはこのまま続けるつもりです。

人によって様々な事情がありますので断酒が軌道に乗ってからの判断は自己責任だと思っています

断酒・回復の方法は一人一人違いますから
結論はお勧めはするが無理強いはしない
断酒は今日一日の積み重ねだと思います。支え合う仲間がいるというのは大きいことです。

私の体験上ですが自助グループを実際に知っているのと知らないのとでは全く違うと思います
デメリットもあるが、それを上回るメリットが自助グループにはあります。

特に断酒1年までの不安定な時期には自助グループの効果はとても大きいと思います
- 経験したことのない方は是非一度参加することをお勧めします。
- また断酒継続ができていて「自助グループはもういらないよ」と思う方も他の方法(ブログ・Twitterなど)で仲間とのつながりを忘れない工夫は取り入れることをお勧めします。
- 特に最近はオンラインでのミーティングが広がっています。
多くの方が参加されることを期待しています。

結論はお勧めはするが無理強いはしないです
参考記事
「仲間」の存在が必要だと痛感した体験です。

