依存症になっていく脳とドーパミンのメカニズム

この記事は「依存症になっていく脳とドーパミンのメカニズム」です

依存症は脳の病気」「依存症は脳の報酬系回路が狂ってるんだ!!」などと聞いたことはありませんか?

脳の変化を画像などで見ることができるようになって依存症の脳に独特の変化があることが分かってきました。

この記事では脳の報酬系や悪循環の仕組み・一度依存症になるとなぜ元通りにならないのか?についてまとめました

こういった知識があると理性の力だけで依存をコントロールできないと納得しやすくなります。

無駄な抵抗はやめようと思えるのでその意味ではお勧めの内容です

残念ですが、仕組みはわかりかけているけど効果がある医学的治療はまだ見つかっていません。

こういった知識を得ながら、必要に応じて医療機関と繋がり自助グループやその他の方法で断酒・回復ができればと思います。

脳科学から見た依存症の定義

脳科学から見た依存症の定義は

  1. 依存物質(アルコール・薬物など)を摂取するか、ある種の快感高揚感を伴う行為(ギャンブル・セックス・買い物など)を繰り返し行う
  2. その結果、それらの刺激が欲しくなるという我慢できない欲求が生まれる。
  3. そして刺激がもっと欲しいという気持ちが何より優先する。
  4. 刺激がないと心が落ち着かず物質(アルコール・薬物など)の場合は離脱症状が起こる。

お酒などの物質の依存と行為や人間関係への依存があるんだね

最初は楽しさ・快感があるので繰り返します

もっともっとってエスカレートするのね

刺激がないと落ち着かない、離脱症状が起こります

依存症 - 脳科学辞典
行動嗜癖 - 脳科学辞典

依存症の脳内メカニズム

脳内報酬系とは?

我々の脳には脳内報酬系という部位があります。

美味しいものを食べて満足する時、快楽物質(ドーパミン)が脳に出ています

  • この時主に脳の知的活動の中枢(前頭連合野)と快感の中枢(側坐核)にドーパミンが分泌されます
  • 中脳の腹側被蓋野(VTA)に抑制する働きの神経伝達物質(GABA)を送ってブレーキの役割をします
  • 美味しさを前頭連合野で感じ、その反応がVTAに伸びている神経を活性化させてA10という神経を使って脳にドーパミンを分泌します

要するに食べたり性行為をするとドーパミンという快楽物質が出るんだね

  • 快感の中枢(側坐核)がドーパミンを受け取ることが快感だと考えられています。
  • 快感の中枢(側坐核)は腹側被蓋野(VTA)の活動を抑制します。
  • 脳の記憶する部位(海馬)もドーパミンを受け取って活性化しています。

快感は海馬に蓄えられて、次に似たような状況が来た時より速いドーパミン放出が起こるようになります(期待の快感)

ドーパミン - 脳科学辞典

理性・意志・知的活動が活発になるとドーパミンが分泌される

報酬系の仕組みのおかげで人類は種の保存ができています。

しかし食欲や性欲だけではありません

宿題が終わって楽しいといった達成感も同じです

繰り返しますが、ドーパミン快感の中枢(側坐核)だけではなくて前頭連合野という知的活動の中枢にも刺激が送られます。

前頭連合野は感情のコントロール・論理的な判断・予測・計画の立案を行う部分です

ワーキング・メモリー(ものごとを考えるときに使う記憶)を使うと前頭連合野(前頭前野)のドーパミン上昇します。

意欲や達成感とも関係があります

依存症の原因はドーパミンの異常な分泌

アルコール依存症 - 脳科学辞典

我々にとって具合が悪いのはお酒を飲んで気持ちよかったりギャンブルをして気分が高揚した時も、同じように快楽物質(ドーパミン)が出ます

お酒やギャンブルの快感や喜びの感覚を脳(前頭連合野)が報酬(ごほうび)と判断すると脳は快感を覚えて記憶(海馬)します

最初の体験が快感を伴って記憶されると「再び同じ体験をしたい」と脳は考えます

お酒を世の中から無くしても、快感を伴う対象に脳は同じ反応をします

依存症の人の脳では神経伝達物質のバランスが崩れている

しかし、ドーパミンは日常生活で普通に分泌されています

ドーパミンと逆の働きをする神経伝達物質(セロトニンなど)が行き過ぎた興奮を抑えてくれます

依存症の人の脳では神経伝達物質のバランスが崩れています

アルコール依存症なら飲み続けているうちに、同じ量で得られた快感が感じられなくなります

原因はドーパミンの受容体の減少です

さらに飲酒が継続されるとドーパミンの放出側受け取る側神経細胞自体が変化します。

その結果アルコールへの依存は脳の中に永遠に記録されます

長年断酒していても脳神経には元に戻れない変化が生じていて、アルコールの刺激でいきなり依存状態に逆戻りします。

こちらにこの状態を記事にしています

しばらくやめていても再飲酒すると目も当てられない状態になる
再飲酒の原因は「やめ続けられたから酒をコントロールできるようになったという錯覚」から起こります。「酒に対して無力であり、上手く生きていけない」というのは依存症に必要な考えです。私の知っている先輩たちの言葉(断酒が長い人から初心者まで)を自分の言葉でまとめました。

神経伝達物質が崩れることについてはこちら

薬物乱用・依存と脳機能障害
おいしさからやみつきに至る脳内プロセス
J-STAGE

アルコール依存症が鬱状態になりやすいのは

  • 脳のシナプス放出側(刺激を送る側)神経刺激すると受け取る側(刺激を受け取る側)神経刺激が伝わります。
  • 放出側の刺激を何百回も繰り返していると受け取る側の反応が大きくなっていきます(長期増強・長期抑制)。
  • 嗜癖によって報酬系が活動し快感が生じる体験は報酬系の各神経のシナプスに長期増強・長期抑制を形成します。

アルコールの場合、より大量のアルコールを求めるようになります

日常生活での他の喜びから得られるドーパミン程度では、ほとんど反応しなくなります

アルコール依存症になるとうつ状態になりやすいのは、アルコール以外の日常生活から喜びを感じられなくなるからです

先ほども書きましたが、報酬系が活性化されても普通はGABA神経がブレーキを掛けます。

GABAの働きは興奮抑制することです。

アルコールにはブレーキを掛けるGABA神経抑制する働きがあります。

アルコールにはブレーキ(GABA神経)を効かなくする働きがあります

依存症によって違いはあるが基本的な仕組みは同じ

RASGRF2という遺伝子アルコールによるドーパミンの放出をコントロールしていることが分かってきました。

Human Endogenous Retrovirus-K HML-2 integration within RASGRF2 is associated with intravenous drug abuse and modulates transcription in a cell-line model
The human genome is “littered” with remnants of ancient retrovirus infections that invaded the germ line of our ancestors. Only one of these may still be prolif...
Evidence that addictive behaviors have strong links with ancient retroviral infection
New research shows that an ancient retrovirus -- HK2 -- is more frequently found in drug addicts and thus is significantly associated with addiction.

PET(ポジトロンCT)検査によってアルコール・各種薬物・ギャンブルによる違いも測定されています。

脳を調べるとこういった仕組みで依存症になるのがわかるんだね

他の依存症も基本的な仕組みは同じだよ

依存症についてもっと知りたい方へ
依存症についてもっと知りたい方へについて紹介しています。

参考書籍

治療法は?

治療は精神療法と薬物療法の組み合わせ

治療は精神療法と薬物療法の組み合わせによって効果が発揮されると考えられています。

薬による治療は?

物質依存の場合は、病院で処方される薬で治療されます。

アルコール・ニコチン・大麻などにより異なる場合もあります。

処方薬なので医師の指示通り服用してください。

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精神療法は?

自助グループなどの支援、認知行動療法などがあります。

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