酒にハマる脳の仕組み

この記事は「酒にハマる脳の仕組み」です

お酒を飲むと楽しくなります。

会話がはずんだり、ストレス解消できます。

しかし飲み続けるとだんだんブレーキ壊れていきます

ずっとブレーキが壊れた状態を依存症と言います。

そして壊れたブレーキは修復されません

  • なぜブレーキが壊れるのか?
  • それは依存症脳の病気だからです。
  • 依存症になると報酬系回路狂います。

昔は依存症になる人は、意志の弱いだらしない人と思われていました。

しかし、脳内の変化を画像などで見ることができるようになって依存症の脳に独特の変化があることが分かってきました。

脳が変化するのは物質依存(アルコール・薬物等)だけでなくプロセス依存(ギャンブル・クレプトマニア等)摂食障害などの症状でも同じです。

今回の記事では脳の報酬系や悪循環の仕組み・一度依存症になるとなぜ元通りにならないのか?についてまとめました

依存は脳の本能喜怒哀楽情緒神秘的な感覚(直観)を司る部位(大脳辺縁系)で起こります。

脳の生産する神経伝達物質は人間の生存に大きく関わっているのですが、依存症になるとドーパミンなどの量が狂い、もっと欲しいもっと欲しいという信号を送るようになります。

これは理性を司る部位よりもっと強い力で私たちの判断や行動を飲み込んでしまいます。

知識があると理性の力だけ依存コントロールできないと納得しやすくなります。

お酒種類を変えても無駄です。一日2杯でやめようとしてもやがてコントロールできなくなります

無駄な抵抗はやめようと思えるのでその意味ではお勧めの内容です

残念ですが、仕組み・原因はわかりかけているけど効果がある医学的治療はまだ見つかっていません。

ハマる脳の知識を得ながら、必要に応じて医療機関と繋がり自助グループやその他の方法で断酒・回復ができればと思います。

ハマる脳の仕組み

脳科学から見た依存症の定義

脳科学から見た依存症の定義は、刺激がもっと欲しくなる

  1. 依存物質(アルコール・薬物など)を摂取するか、ある種の快感高揚感を伴う行為(ギャンブル・セックス・買い物など)を繰り返し行う
  2. その結果、それらの刺激が欲しくなるという我慢できない欲求が生まれる。
  3. そして刺激がもっと欲しいという気持ちが何より優先する。
  4. 刺激がないと心が落ち着かず物質(アルコール・薬物など)の場合は離脱症状が起こる。

刺激がないと心が落ち着かない

  • 最初は楽しさ・快感があるので繰り返します
  • もっともっとってエスカレートします
  • 刺激がないと落ち着かない、離脱症状が起こります

脳科学から見た依存症の説明、詳しくはこちら

こちらは行動嗜癖についてです

脳内報酬系とは?

我々の脳には脳内報酬系という部位があります。

美味しいものを食べて満足する時、快楽物質(ドーパミン)が脳に出ています

  • この時主に脳の知的活動の中枢(前頭連合野)と快感の中枢(側坐核)にドーパミンが分泌されます
  • 中脳の腹側被蓋野(VTA)に抑制する働きの神経伝達物質(GABA)を送ってブレーキの役割をします
  • 美味しさを前頭連合野で感じ、その反応がVTAに伸びている神経を活性化させてA10という神経を使って脳にドーパミンを分泌します

食べたり性行為をするとドーパミンという快楽物質が出るんだね

  • 快感の中枢(側坐核)がドーパミンを受け取ることが快感だと考えられています。
  • 快感の中枢(側坐核)は腹側被蓋野(VTA)の活動を抑制します。
  • 脳の記憶する部位(海馬)もドーパミンを受け取って活性化しています。

快感は海馬に蓄えられて、次に似たような状況が来た時より速いドーパミン放出が起こるようになります(期待の快感)

快感は記憶されます

ドーパミンについてはこちらです

理性・意志・知的活動が活発になるとドーパミンが分泌される

報酬系の仕組みのおかげで人類は種の保存ができています。

しかし食欲や性欲だけではありません

宿題が終わって楽しいといった達成感でもドーパミンは出ます

  • 繰り返しますが、ドーパミン快感の中枢(側坐核)だけではなくて前頭連合野という知的活動の中枢にも刺激が送られます。
  • 前頭連合野は感情のコントロール・論理的な判断・予測・計画の立案を行う部分です
  • ワーキング・メモリー(ものごとを考えるときに使う記憶)を使うと前頭連合野(前頭前野)のドーパミン上昇します。

ドーパミンは意欲や達成感とも関係があります

依存症の原因はドーパミンの異常な分泌

ドーパミンについて詳しい説明はこちら

お酒を飲んで気持ちよかったりギャンブルをして気分が高揚した時も、同じようにドーパミンは出ます

  • お酒やギャンブルの快感や喜びの感覚を脳(前頭連合野)が報酬(ごほうび)と判断すると脳は快感を覚えて記憶(海馬)します
  • 最初の体験が快感を伴って記憶されると「再び同じ体験をしたい」と脳は考えます
  • お酒を世の中から無くしても、同類(ギャンブル・ゲームなどの嗜癖)の快感を伴う対象に脳は同じ反応をします

依存症の人の脳では神経伝達物質のバランスが崩れている

しかし、ドーパミンは日常生活で普通に分泌されています

ドーパミンと逆の働きをする神経伝達物質(セロトニンなど)が行き過ぎた興奮を抑えてくれます

依存症の人の脳では神経伝達物質のバランスが崩れています

  • アルコール依存症なら飲み続けているうちに、同じ量で得られた快感が感じられなくなります
  • 原因はドーパミンの受容体の減少です
  • さらに飲酒が継続されるとドーパミンの放出側や受け取る側の神経細胞自体が変化します。

アルコールへの依存は脳の中に永遠に記録されます

長年断酒していても脳神経には元に戻れない変化が生じていて、アルコールの刺激でいきなり依存状態に逆戻りします。

こちらにこの状態を記事にしています

断酒継続の難しさ 簡単に断酒できるなら依存症ではない
断酒継続の失敗、つまり再飲酒の原因は「やめ続けられたから酒をコントロールできるようになったという錯覚」から起こります。「酒に対して無力であり、上手く生きていけない」というのは依存症に必要な考えです。私の知っている先輩たちの言葉(断酒が長い人から初心者まで)を自分の言葉でまとめました。

神経伝達物質が崩れることについてはこちら

アルコール依存症が鬱状態になりやすいのは

  • 脳のシナプス放出側(刺激を送る側)神経刺激すると受け取る側(刺激を受け取る側)神経刺激が伝わります。
  • 放出側の刺激を何百回も繰り返している受け取る側の反応が大きくなっていきます(長期増強・長期抑制)。
  • 嗜癖によって報酬系が活動し快感が生じる体験は報酬系の各神経のシナプスに長期増強・長期抑制を形成します。

アルコールの場合、より大量のアルコールを求めるようになります

日常生活での他の喜びから得られるドーパミン程度では、ほとんど反応しなくなります

アルコール依存症になるとうつ状態になりやすいのは、アルコール以外の日常生活から喜びを感じられなくなるからです

  • 先ほども書きましたが、報酬系が活性化されても普通はGABA神経がブレーキを掛けます。
  • GABAの働きは興奮抑制することです。
  • アルコールにはブレーキ掛けるGABA神経抑制する働きがあります。

依存症によって違いはあるが基本的な仕組みは同じ

RASGRF2という遺伝子アルコールによるドーパミン放出をコントロールしていることが分かってきました。

pnasの詳しい説明はこちら

sciencedailyの詳しい説明はこちら

PET(ポジトロンCT)検査によってアルコール・各種薬物・ギャンブルによる違いも測定されています。

脳を調べるとこういった仕組みで依存症になるのがわかるんだね

他の依存症も基本的な仕組みは同じだよ

厚生労働省の記事です

治療法は?

治療は精神療法と薬物療法の組み合わせ

治療は精神療法と薬物療法の組み合わせによって効果が発揮されると考えられています。

薬による治療は?

  • 物質依存の場合は、病院で処方される薬で治療されます。
  • アルコール・ニコチン・大麻などにより異なる場合もあります。
  • 処方薬なので医師の指示通り服用してください。
断酒薬
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