アルコール好きが脂肪肝について最低限知っておきたいこと

この記事は「アルコール好きが脂肪肝について最低限知っておきたいこと」です

アルコール好きの人は肝臓が気になりますよね?

健康診断での検査の数値が悪いとなおさらです。

しかし、肝臓の病気はついている名前がややこしいです

脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝疾患・肝障害など。

この記事では脂肪肝について書きました

脂肪肝の機序(メカニズム)・なぜ(原因)・肝臓の細胞・発症・症状・治療・生活で気を付ける点について。

またアルコール性だけでなく非アルコール性脂肪肝炎(NASH)についても医療機関の研究情報の詳しいリンクも張って説明しています。

脂肪肝とは

脂肪肝とは肝臓に蓄積されている脂肪が異常に多い状態です

脂肪肝を画像で見る

エコー検査の画像では肝臓は本来グレーに映ります

これが脂肪肝になると白く光って見えるようになります

アルコール好きが脂肪肝について最低限知っておきたいこと

アルコール好きが脂肪肝について最低限知っておきたいこと

正常な肝細胞はブドウの房のように連なっている

肝細胞は、いくつもの細胞がブドウの房のように連なるような形をしています

肝臓の細胞

肝細胞の数は成人で3000億個と言われています。

このブドウの房のように連なる細胞の間を、毛細血管が張り巡らされて、栄養を取り込んだり、解毒したりしています。

肝臓にたまった脂肪というのは、この房状の中の細胞が一つ丸ごと球状の脂肪と入れ替わってしまっている状態にあります

上からインクを落としたように見えることから、「ドロップレット(脂肪滴)」と呼ばれています。

詳しくはこちらをどうぞ

脂肪肝ってなぁに?

脂肪空胞が肝機能を低下させる仕組み

下の図では肝臓の細胞内に脂肪空胞があります

細胞の中に脂肪が溜まって細胞が膨れています

先ほど書きましたがブドウの房のように連なる細胞の間を、毛細血管が張り巡らされています。

  1. 肝細胞に脂肪がたまりすぎる。
  2. 肝細胞はバルーン(風船)化して、互いに圧迫しあう。
  3. 血流が悪くなる(血流障害)。
  4. 肝細胞が壊死したり、肝機能が低下する。

栄養を取り込んだり解毒したりできなくなります

脂肪肝の原因

脂肪肝の原因で多いのが食べすぎと飲みすぎです

摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが取れていれば問題はありません。

脂質や糖質を摂り過ぎていて、さらに運動不足の場合には、糖質や脂質が余ります。

余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に過剰にたまるのが原因です

詳しくはこちらをどうぞ

治る肝臓病 脂肪肝|健康診断|検査と治療|原因

肝臓に脂肪がたまる仕組み

食事で摂る糖質や脂肪は、腸で分解・吸収された後、肝臓に運ばれます

この時、コレステロール・中性脂肪・リン脂質に作り替えられます。

中性脂肪はタンパク質とくっついて、「リボ蛋白」という物質になります。

そして血液から全身に運ばれてエネルギーとなります

ところが食べ過ぎ・飲みすぎなどで、リボ蛋白として血中に出されるよりも、多くの中性脂肪が肝臓で作られてしまいます。

その結果余計な中性脂肪は肝臓内にたまり、脂肪肝へとなっていきます

適切な栄養が摂れて、代謝がスムーズに行われていれば、大量の脂肪が肝臓にたまることはありません

詳しくはこちら

脂肪肝の発症メカニズムを解明
田中聡司大学院生、疋田隼人助教、竹原徹郎教授(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)および吉森保教授(大阪大学大学院医学系研究科遺伝学/生命機能研究科細胞内膜動態学)らの研究グループは、肝臓でRubiconの発現が上昇することが脂肪肝の原因であることを明らかにしました。これまで脂肪肝ではオートファジー(細胞内の分解機...

フォアグラは究極の脂肪肝!

繰り返しますが、脂肪肝というのは、本来機能するはずの細胞のスペースを、脂肪がとってかわって、肝臓の中に入り込んでいる状態です。

脂肪が30%を超えると脂肪肝です

つまり肝臓全体の3割が脂肪であるということは、言い換えれば肝細胞は7割に減っているわけです

ということは当然のことですが、肝臓の働きは落ちます

フォアグラ状」と言われます。本来あるべき肝細胞の3割が脂肪にその座を奪われた結果、肝機能が落ちてしまっている霜降り状態の肝臓だということです。

フォアグラは強制的にガチョウを太らせて、肝臓の8割位を脂肪にした世界三大珍味の一つです。

フォアグラは究極の脂肪肝と言えます

当然ですが、ガチョウも肝細胞がすべて脂肪に変われば死んでしまいます。

肝臓の8割くらいを脂肪になるというダメージを受けても、本来の働きをカバーできるだけの代謝能力を肝臓は持っているということです

脂肪肝のまとめ

  • 原因のほとんどは食べすぎ飲みすぎです。
  • 健康な人でも、肝臓には3%程度の脂肪をためていると言われています。
  • 肝臓の細胞が100個あると、そのうち3個分ぐらいの量に当たる脂肪があるということです。
  • これが30%以上肝臓にたまってしまった状態が「脂肪肝」です。
脂肪肝
肝臓に中性脂肪がたまった状態。メタボリックシンドロームに合併しやすく、放置すると肝炎などを引き起こす。

酒飲みが気をつけなければいけない「アルコール性脂肪肝」

アルコール性脂肪肝

脂肪肝には、飲酒が関係する「アルコール性脂肪肝」と、飲酒しないのに起こる「非アルコール性脂肪肝」があります。

酒飲みの場合まず「アルコール性脂肪肝」に気をつけたいです

アルコールが分解する時、中性脂肪が合成されやすくなるからです。

  1. 体の中に入ったアルコールのほとんどは肝臓で解毒されます。
  2. 解毒された後、体の外へ排出されます。
  3. この解毒の過程で、肝臓の働きに異常が生じることによって、肝臓中に脂肪が増えてたまっていきます。

飲酒が原因

1日に純エタノールに換算して60g以上の飲酒を5年以上続けるとアルコール性肝障害を起こしやすくなるそうです

女性や遺伝的にお酒に弱いひとでは、1日40g程度の飲酒でもアルコール性肝障害を起こしうると言われています

アルコール性肝障害の治療の基本は断酒・禁酒です

アルコール性肝疾患 | 肝炎情報センター

合併症

合併症として糖尿病・高脂血症・肝性脳症・肺炎・急性腎不全・消化管出血などがあります。

断酒をして食事制限をしなければいけない場合が多くあります

しかし断酒は難しいですし、断酒と食事制限両方を行うのはさらに難しいです。

アルコール依存症である私の経験でも、入院中はできても退院後継続するのは困難でした

非アルコール性脂肪肝・その他の脂肪肝

非アルコール性脂肪肝

非アルコール性脂肪性肝疾患の原因は、多くの場合メタボリックシンドドロームの原因と同じです

  • 生活習慣の乱れ
  • ストレス
  • 運動不足

アルコール性肝炎と似た経過をたどります。

アルコール性肝炎と非アルコール脂肪性肝炎
アルコール性と非アルコール性、ふたつの肝炎の組織像は類似しており、肝臓内の酸化ストレスなど共通の発症メカニズムが研究されています。両者とも進行すると肝硬変や肝臓癌に至ります。アルコール性肝炎は常習飲酒家で大量飲酒後に発症し、救命率の低い重症型アルコール性肝炎もあります。アルコール依存症が背景にある場合はその専門治療が必...

「ダイエット脂肪肝|痩せれば全部解決の嘘」

以下の記事で急激な減量が脂肪肝の原因になると書きました。

痩せてるのに脂肪肝はダイエット脂肪肝
この記事は「痩せてるのに脂肪肝はダイエット脂肪肝」です結論は「バランスの良い食事・有酸素運動・断酒」です急激なダイエットが脂肪肝を招くというのを、聞かれたことはありますか?脂肪肝って中年太りの人が...

急性妊婦性脂肪肝

妊娠後期(36~40週)の妊婦に発症します。小さな脂肪の塊が肝臓全体に沈着して、急激に肝不全を起こします

初産婦、多胎例、男児妊娠例に多く、約半数は妊娠中毒症を合併します。

発症は7000〜16000 妊娠に1 人なのですが、怖いのは妊娠を終了させない限り、肝不全、腎不全を起こして、母児共に命の危険性が高くなる点です。緊急分娩が必要になります。

詳しくはこちら

急性妊娠性脂肪肝-映画「抱きしめたい-真実の物語」のヒロインが罹った病気-ブログ-木更津市の内科 千葉県 木更津市 (君津市 袖ヶ浦市 富津市) 肝臓専門医 消化器病専門医 内科認定医 はやさかクリニック
急性妊娠性脂肪肝は脂肪肝の一種ですが、出産が近いまたは出産時の妊婦さんを襲う、きわめて重症になる脂肪肝です。

インスリン抵抗性を悪化させる

健康な肝臓は、脂肪率2~3%で重さは約1kgですが、脂肪肝で30%以上の細胞に脂肪がたまると、脂肪率は5%以上重さが約1.5~2kgとなります。

脂肪がたまりすぎた肝細胞はバルーン(風船)化して、互いに圧迫しあいます。

すると血流が悪くなり、肝細胞が壊死、肝機能が低下します

脂肪がたまる⇒バルーン化し、互いに圧迫⇒血行障害⇒肝機能低下

また脂肪肝が悪化すると、全身が肥満体質になりやすくなります

これは脂肪肝の悪化が全身のインスリン抵抗性を悪化させるためです。

インスリンは血糖値を低下させます。しかし、肝臓の脂肪量が多いほど骨格筋のインスリン抵抗性が高くなり、肝臓だけでなく全身のインスリン抵抗性の悪化に影響を及ぼします。

つまり脂肪肝があることでインスリン抵抗性がさらに進行してしまうという悪循環に陥りやすいのです

また狭心症心筋梗塞など心疾患の合併率が高くなります

詳しくはこちら

脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 筋肉のインスリン抵抗性の原因に|ニュース
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脂肪肝は病気ではないと思われて放っておかれていた?

脂肪肝が注目され始めたのは、約30年前です。

1990 年代前半にも「脂肪肝」という言葉はありました。

しかし、脂肪肝は肝臓に脂肪がたまっているだけ。何も悪さをしない。肝硬変になど進行しないと考えられていました

当然通院の必要もなく薬も出ませんでした。

米国の肥満率は急激に上昇した

米国の肥満率は急激に上昇した

米国の肥満率は1985年頃から急激に上昇しました。

もともとアメリカに広まりつつあった「寿司ブーム」なども他の色々な要素と絡み合って、この頃から一挙に広まりました

アメリカ人にヘルシー志向が広がったわけです。

その肥満の人が爆発的に増え始めたアメリカで、脂肪肝と診断されたまま、放置されていた一部の人が、肝硬変肝臓がんになったという報告がされました。

以下は参考記事です。よろしければどうぞ。

γ-GTP100? 300?1000? 飲みすぎの肝臓数値
この記事は「γ-GTP100? 300?1000?  飲みすぎの肝臓数値」ですγ-GTPが100ですとか300ですとか1000ですとか言われたことはありますか?初めての健康診断で血液検査の結果γ-GTPが100だとび...
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この記事は「アルコールが影響する内臓脂肪と脂肪肝」です内臓脂肪と脂肪肝は誤解が多いようです。脂肪肝って聞いたことはありますか?アルコール依存症では脂肪肝と診断された人は多いと思います。ところが誤解が多いようで...
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