
この記事は「断酒すると甘いものを食べたくなる仕組み」です

結論「ドーパミン・血糖値・レプチンからわかる」です
断酒・禁酒をしたら甘いものを食べたくなったという経験はありませんか?
お酒を飲んでいた時は甘いものや糖分の多い食べ物が大嫌いだったのに断酒をしてからその後はお菓子を食べたくなった・口が変わった・甘党になったというのはとてもよく聞きます。
断酒をすると食欲不振は治まります。ただやたらと甘いものに目がなくなります。

でもなぜでしょう?

体調がよくなったから? 舌が変わった?
「ビールや日本酒には糖分が含まれている。だから飲まなくなったら甘いもので補給したくなるのかな?」
そういった説も聞いたことはありますが、もしそうならウイスキーや焼酎などの蒸留酒には糖分は含まれていないので、それだけでは説明不足のような気がします。

実は甘いものが好きになる理由には依存症の脳の仕組み・働きがあります
断酒すると慢性の二日酔いで鈍った自分の体を鍛えたくなりますが、ダイエットに成功する人と上手くいかない人がいます。
- 自分は意思が弱い? やっぱり依存症だから?
- アルコールの代わりに砂糖に依存してしまった!
今回のブログ記事では「ドーパミン」「血糖値」「レプチン」からざっくりとまとめてみました。
甘いものが食べたくなる原因が分かれば食べ過ぎ対策も可能になるかもしれません。
断酒をして血糖値も下げたいですね。
断酒・禁酒と甘いもの
酒飲みが甘いものを嫌いなのは?
そもそも砂糖とアルコールを一緒に摂ると、体はまず砂糖を処理した後でアルコールを処理します。
体にとって砂糖のほうが栄養的価値が高いと判断されるようです。
悪酔いしやすく、お酒がまずくなるわけです。

そして何より空きっ腹で飲むほうがお酒は早く回って、酔いやすくなります

断酒後甘いものを食べたくなった私の体験
アルコール依存症の人が断酒すると甘いものを食べたくなるのはよく聞く話です。

私も断酒を始めたころは、甘いものが食べたくなりました
その頃は甘いものだけでなくジャンクフードにハマった時期でした。
アルコール専門病院の主治医からは「断酒が安定するまではストレスのかかることはやめてください。まずは断酒を最優先させ、それ以外のことは断酒が安定する2年目ぐらいからにしたほうがいい」と言われました。

また自助グループでも「お腹を空かせてはいけない。空腹は断酒の敵。Haltの法則だ」と言われていました
- 断酒初期の頃は「飲みたい気持ち」が波のようにやってきます。
- お酒を飲みたいと感じなくても「何となくイライラ・ソワソワ」としたり不安になったりしがちです
- そんな時とりあえず食べて誤魔化すというのは断酒初期には有効だろうと思います。
Haltの法則についてはこちら。


やがて断酒一年後に、再就職しました
- 仕事中に間食はできません。
- それでも仕事帰りに甘いものを買って帰り食べていましたが、その後次第に減っていきました。
- 気分もだんだん安定してきましたしストレスが溜まる前に休むことを少しずつ学習していきました。

今も甘いものは好きですが、特別なご褒美や、誰かからの頂き物の時に食べるだけです
体重についてはこちらにまとめました。

お酒の代わりに甘いもので誤魔化せるのはドーパミンとレプチンの働き?
- 私の体験上お酒を飲みたいときに、甘いものを食べると飲酒欲求を誤魔化せます。
- 私の断酒仲間たちもお腹いっぱい食べると飲みたい気持ちが下がると言います。
- 逆にお酒を飲むと食欲がなくなります。
お酒の代わりに甘いもので誤魔化せるのはドーパミンとレプチンの働きから説明できると言われています
断酒すると甘いものを食べたくなる仕組み
それでは砂糖・ドーパミン・血糖・レプチンの説明です
砂糖には依存性がある

砂糖には依存性が認められています
砂糖は脳内でアルコール・薬物と似た報酬系回路の働きをする
キャサリン・デスメゾンズは砂糖に他の薬物依存と同様の依存性があると主張しました。

ラット実験では砂糖とドラッグの共通点を示しています
- 薬物依存と同じように摂取の増大(もっと欲しくなる)になります
- 摂取を停止すると離脱症状が起こります
- そして砂糖への渇望(欲しくてたまらない)という三つの段階を経由するということです

砂糖を停止するとラットは歯ぎしりや震えといった、薬物中毒者と同様の禁断症状を発症し、再発の兆候も示しました
ラットへの砂糖水投与をやめると、砂糖水の出るレバーを何度も押すようになりました
こちらをクリックすると元の論文が見られます(Evidence for sugar addiction)
ただし砂糖にはアルコールやドラッグほどドーパミンを暴走する働きはありません
こちらをクリックすると日本語字幕がついていてざっくりとわかりやすく説明された動画を見られます
砂糖もアルコールもドーパミンが大量に分泌される
- ドーパミンは「快楽物質」と言われています
- 断酒をすると脳内の報酬系回路はドーパミンを再び暴走させたがっています
- 砂糖もアルコールも脳内にドーパミンが大量に分泌されます

甘いものを食べると幸せな気分になるわ
放出のさせ方に違いはあっても脳全体が欲求不満状態なので、砂糖によるドーパミンの分泌を求めるようになるのではないかと推定されています
詳しい説明はこちら
アルコールによるドーパミン・セロトニン・GABA神経の詳しい説明はこちらをどうぞ

- 砂糖の場合はオピオイド受容体に作用(結合)してドーパミンを暴走させます。
- オピオイドは苦痛を和らげる快楽物質です。
- オピオイドには鎮痛効果があります。外科手術ではモルヒネというオピオイド系の化合物を使います。
- 砂糖はモルヒネと同じ仕組みで脳のβエンドルフィン受容体を活発化します。
以下の書籍も併せて参照しました。
砂糖依存になるもう一つの理由は血糖値の急上昇

空腹時に砂糖を摂ると血糖値は急上昇します
- すると膵臓からインスリンが一気に分泌され血糖値が急低下します
- インスリンは血糖値を下げる働きがあります。そして低血糖になります

低血糖になると、脳は空腹であろうがなかろうが「エネルギーが足りない、空腹だ!」と「甘いもの・糖分を摂れ。血糖値を上げろ!」と命令します
- 砂糖は普通の食事からとる糖分より早く分解され血糖値を乱高下させます
- つまり、砂糖を摂るとお腹が減っていなくても繰り返し砂糖が欲しくなります

砂糖=幸福って脳が感じるのね
ドーパミンと血糖値の急上昇から砂糖がアルコールの代わりをすることが説明できます
以下の書籍を参照しました。
体重コントロールのキーワード「レプチン」
脳が自分の体重を感知できるのは「レプチン」というホルモンの働きです

脂肪が増えると食事量を減らすよう食欲中枢(視床下部)に働きかけてレプチンの分泌を増やします

逆に脂肪が減ってくると食事の量を増やすようレプチンの分泌を減らします
ラットに薬物を与えた実験では、脳内にドーパミンが分泌過剰になっている状態では食欲をなくすことが確かめられています。
さらにレプチンが多い状態になるとドーパミンの分泌量が減るそうです
人間の脳のドーパミン放出量を測定しても同じです。
- 薬によってドーパミンを増やすと食欲は減る。
- ドーパミンを減らすと食欲が増えることが分かっています。

飲酒欲求が強い時(ドーパミンを分泌させたいとき)にお腹いっぱい食べるとドーパミンが減るのね

その点砂糖・甘いものは血糖値を急上昇させるので好都合だなぁ
レプチンは体重を維持するために働いています。
例えばダイエットによくある「停滞期」「リバウンド」はレプチンが体重を維持しようとしているのではないかと考えられています