セリンクロとレグテクトと抗酒剤 アルコール依存症に効くのは?

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結論は現段階では決定的な力があるとは言えないが、色々な方法と組み合わせて補助的に使用すると一定の効果が見込める

アルコール依存症が治る薬があればいいですよね?

残念ながら現段階では完治させる薬はありません。

薬だけで治ってほしいなぁ

面倒なのは嫌よ

アルコール専門病院で治療経験のある方にはお馴染みの抗酒剤とレグテクト・セリンクロについて書きました。

これらは魔法の薬ではありませんが、他の心理・社会的な治療、自助グループへの参加と組み合わせることで最大限の効果を発揮できます

当たり前のように服用している薬でも知らないことってありますよね?

私の実体験と薬の簡単な仕組み・効能について記事にまとめました。

少しでもお役に立てれば幸いです。

実体験の部分は病院によって違いますのでご了承ください

新薬セリンクロ

新薬である「セリンクロ」です。

セリンクロ」は2019年3月に発売されたばかりです。

飲酒欲求を抑え、アルコール依存症患者の飲酒量を低減する」という歌い文句で、この薬を使って「断酒ではなく節酒による治療ができないか?」とも言われています。

  1. 飲酒の1~2時間前に服用すると、飲酒の欲求が満たされたときに活性化する神経に作用。
  2. 過度な飲酒を抑える。

そして「セリンクロ」はギャンブル依存症の治療にも使えるかもしれないといわれているようです。

処方された人の話では「効果があるような気もするが、飲んでしまったこともある」。

今のところ参考になる話を聞けていないというのが実際のところです。

セリンクロが効く仕組み

飲酒欲求はエンドルフィンという「脳内麻薬」とも呼ばれる神経伝達物質が関係しています。

β-エンドルフィンはオピオイドμ受容体に作用してモルヒネのような作用を働かせます。

βエンドルフィンがμ受容体に働きかけて、ニューロン(GABA)を抑制することで、中脳腹側被蓋野から大脳皮質にドーパミンが投射されます。

以下の記事で依存症になっていく脳の回路についてまとめました。

依存症になっていく脳とドーパミンのメカニズム
この記事は「依存症になっていく脳とドーパミンのメカニズム」です「依存症は脳の病気」「依存症は脳の報酬系回路が狂ってるんだ!!」などと聞いたことはありませんか?脳の変化を画像などで見ることができるようになって依存症の脳...

セリンクロオピオイド受容体に働きかけて依存症の回路(ドーパミンの放出)を低下させ飲酒欲求が減らせる効果が見込めます。

セリンクロ錠 10mg

重症になる前に

アルコール依存症の治療は「断酒が最も安全かつ安定的」です。

しかし、そもそも患者が医療機関を受診しなかったり、治療中断をするために難渋しています

そこで軽症例からの早期介入に使える治療薬として期待されているのがセリンクロ」です。

アルコール依存症予備軍に節酒のための補助薬としても処方されるようです。

セリンクロの感想は?

今のところ私が聞いた範囲では「飲酒欲求が軽くなった」という人と「あまり変わらない」という人がいるようです。

薬剤師さんから聞いた話では「効果のある患者さんは多い」ということです。

どの程度飲酒欲求抑制効果があるかどうかは、しばらく時間が必要だと思いますが、期待したいですね。

減酒.jp - 大塚製薬
「減酒.jp」は、飲酒によるリスクやアルコール依存症に関する情報を提供するサイトです。「お酒をやめる」だけではなく、「お酒を減らす」という治療法についてもご紹介しています。
セリンクロ錠10mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典
セリンクロ錠10mg(一般名:ナルメフェン塩酸塩水和物錠)の薬効分類・副作用・添付文書・薬価などを掲載しています。「処方薬事典」は日経メディカルが運営する医療・医薬関係者向け医薬品検索データベースです。

セリンクロを服用される 患者さんへ

レグテクトとは?

2013年5月から「レグテクト」という薬が出ています。

これは飲酒欲求軽減薬です。

飲みたいという気持ちを軽くする効果」があると言われています。

飲酒欲求が軽くなるのか?

不快反応はない

この薬を服用後にお酒を飲んでも、抗酒剤のような不快反応はありません

抗酒剤は、肝臓に負担がかかります

肝臓内でアルコールを分解する酵素の働きをブロックする薬なので、人によっては肝機能が害されることがあります。

しかし、レグテクトは肝障害のある依存症者でも使いやすいというメリットがあります。

肝臓に負担のないのはいいよね

脳に作用する薬

お酒を飲んでも不快な症状が表れないのは、おもにに作用する薬だからです。

  1. アルコールを飲むと、まず抑制性の神経が刺激されます。(リラックス)
  2. 続いて興奮性神経も反応します。(興奮)
  3. 繰り返し飲み続けると、興奮性の神経を過剰に働かせる作用が体に表れます。(過剰に興奮)
  4. 抑制性神経の活動を再び増やそうとして脳がアルコールを求めます。(酒の力でリラックスさせたい)
  5. お酒から離れられなくなって、昼でも飲んでしまうようになります。
アルコール依存症 飲みたい衝動、薬で抑える|ヘルスUP|NIKKEI STYLE
適量であれば「百薬の長」でもあるお酒だが、度を過ぎて飲み続けてしまうと、いつもアルコールが欲しくなる依存症に陥ってしまう。健康を害し、きちんと働けなくなる。本人だけではなく家族にも大きな負担がかかる。こうなってからの禁酒は、相当の強い意志…
アルコールの作用
アルコールは少量なら気持ちをリラックスさせたり会話を増やしたりする効果がありますが、大量になると麻酔薬のような効果をもたらし、運動機能を麻痺させたり意識障害の原因になります。その他、少量のアルコールは循環器疾患の予防になったりHDLコレステロールを増加させたりします。

仕組みは?

  1. アルコールを乱用している人が断酒をするとグルタミン酸がたくさん放出されて興奮性神経(NMDA)が活性化して、離脱症状など不快な状態になります。
  2. レグテクトグルタミン酸の急激な上昇を抑えます。
  3. 興奮性神経の働きが減ると、抑制性神経の働きを活発にする必要がなくなります。
  4. こうしてお酒を欲しくなくなるという仕組みです。

興奮性神経を抑えるんだね

それで抑制性神経を再び増やそうとしなくなるから脳がアルコールを求めないのね

レグテクトとセリンクロとの違いは?

セリンクロ飲酒欲求そのものを低減させるのに対してレグテクト断酒後の継続を助けるという違いがあります。

セリンクロは飲酒欲求を和らげるのが目的

レグテクトは断酒後の継続を助けるのが目的

レグテクトの効果は?

一定の効果はあるようですが現状では補助的役割と発売元(日本新薬)も説明しています。

先ほども書きましたが依存症は心理社会的治療が中心だからです(レグテクとの投与対象者は心理社会的治療を受けている者になっています)。

ですから、抗酒剤と併用することで、効果を上げることも可能です(併用しても問題はありません)。

レグテクトは2013年に発売されたばかり

ただし私はレグテクトを飲んだことがありません。

私が最後にアルコール専門病院に入院したのが2010年春。

以降精神科の薬は飲んでいません。

私が飲酒していたころは「米国では飲酒欲求を抑える薬があるらしい」とうわさになっている程度でした。

しばらくして日本でも認可されるかもしれないと、アルコール専門病院ではモニターを募集して様子を見ていました。

結局2013年から発売されることになりました。

断酒仲間からいろいろな感想を聞きますが、自分が体験していないので、仕組みの簡単な紹介だけにさせていただきます。

ただ一つ書いておきたいのは、今のところレグテクトも魔法の薬ではないということです。

によって飲酒欲求の抑制に差があります

レグテクトのおかげで断酒が継続できているという人もいます。

残念ながら効果がないという人もいます。

これからどういった結果が表れるか、期待して見守りたいところです。

レグテクト アルコール依存症 断酒補助剤 | 日本新薬株式会社
アカンプロサート:レグテクト
レグテクトとは?アカンプロサートの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版)

抗酒剤とは何か?

私はアルコール専門病院に3回入院しました。すべて違う病院です。

病院によって違いはありました。

そのうちの一つが「抗酒剤」への考え方です。抗酒薬と呼ぶ病院もあります。

抗酒剤とは何か? ですが。

「酒が嫌いになる薬」「飲酒欲求がなくなる薬」「依存症が治る薬」ではありません

この薬を服用した後お酒を飲むと「酒豪」と呼ばれる人でも顔が真っ赤になり心臓がバクバク吐き気・頭痛の症状が出ます。

底なしの大酒飲み人でも下戸と呼ばれるお酒を受け付けない人同じ反応が体に表れます。

顔が真っ赤・心臓がバクバク・吐き気・頭痛

お酒が嫌いになるわけじゃないのね

仕組みを簡単に言えば、肝臓内でアルコール分解酵素の働きを抑えて、その結果少量のアルコールでも二日酔い症状を引き起こす働きがあります(アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を阻害して血中のアセトアルデヒドを増やし、不快感を起こさせる)。

少しお酒を飲んだだけで二日酔いみたいになります

ノックビンとシアナマイド

抗酒剤にはノックビンシアナマイドがあります。

前者は粉薬、後者は水薬です。

ノックビンは粉薬、シアナマイドは水薬

ノックビンは、効果が出るまでに時間がかかります

人によって多少違いますが2~3日ぐらいでしょうか。

しかし効果は1週間あるいはそれ以上持続します。

一方シアナマイドは飲むとすぐ効果があらわれて、丸1日近く持続します。

ノックビンは効果が出るまでに時間がかかるけど1週間くらいは効くんだね

シアナマイドは飲むとすぐ効果があらわれて丸1日近く持続するのね

繰り返しますが、これらの薬は飲酒欲求を抑える作用はありません

つまり抗酒剤を服薬してもお酒を飲みたい欲求は相変わらず残ります

飲みたい気持ちはなくならないのかぁ

病院では「抗酒剤を飲んで飲酒すると大変なことになる。絶対ダメ」「救急で運ばれる」と言われます。

単なる脅しではなく、実際にそういったケースもあります。

おくすり110番による詳しい説明はこちら

ジスルフィラム:ノックビン
ノックビンとは?ジスルフィラムの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版)
シアナミド:シアナマイド
シアナマイドとは?シアナミドの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版)

抗酒剤は断酒を補助的に支える

当然素直に言うことを聞く依存症者ばかりではありません

かくいう私も、昔「抗酒剤を服用してお酒を飲んだらどうなるか」という実験したことがあります。

私はノックビンシアナマイドも両方とも服用していても一応飲酒は可能でした。

しかし顔や手のひらが真っ赤になるし体の節々が痛くなりました。

動悸も激しくて苦しかったです。

ゆっくり飲むことはできましたが、あきらかにペースダウンしました。

普段はアルコール度数の高い酒を流し込むように一気飲みしていましたがそういったことはできませんでした

顔や手のひらが真っ赤。体の節々が痛くなり、

動悸も激しくて苦しかった

絶対に実験はしないでください

お酒を受け付けないという人いつもこんな感じなのかな? と思いました。

その意味で抑制効果は、かなりあるなと思いましたね。

ただし、当然体質は人によりけりです。

私が行った通りの反応が、誰でも同じように表れるというわけではありません。

倒れて、救急車で搬送されたという話は何度も聞きました。

ですから、人体実験をお勧めする気持ちは全くありませんので止めてください

つまり抗酒剤は「これさえ服用すればアルコールを口にしない」のではなく、断酒の意欲のある人が補助的に使用する薬だということです。

断酒が前提の補助的な薬です

使う病院と使わない病院がある

アルコール専門病院では、入院中に抗酒剤を服用するのが義務付けられている病院のほうが多いようですが出ない病院もありました

私は両方のタイプの病院で入院を経験しました。

病院によって違いがあるといいましたが、それは開放病棟(一般病棟)での過ごし方に、違いがあったということかなと思っています。

義務付けられる病院では朝食前に列を作って看護師さんからシアナマイドを手渡されます。

目の前で飲んでOKならば、朝食へ…でした。

  • 当然飲んでいるふりだけの人はいました。
  • 部屋を出たら、吐き出したり、トイレでうがいしたり。
  • 他の患者さんから告げ口されたりもしていました。
  • そぐにその場で注意されたのを目撃したこともあります。

ただ大体の場合看護師さんたちは、しばらく泳がせておいて飲酒しているところや所持しているところを現行犯逮捕していたことが多かったように思います。

現行犯逮捕

一方服用を義務付けられていない病院は、外出から戻った時に顔などが赤かったり、アルコールの臭いがしたり態度が不審だったりすると、すぐに血液を検査されました。

頻繁に血液を調べることが患者に酒を飲ませない抑止力になっていたのです。

その病院はすぐ近くにコンビニ、スーパー、ディスカウントストアがありました。

つまり外出した時に飲もうと思えばすぐに飲める環境でした。

ところがその病院は入院中の飲酒も少なく、退院後の断酒率も高かったのです。

ただどちらが良いのかについては立地にもよるのでこの事例だけで判断はできないと思います。

病院によって違うんだね

治療方針や立地によって違うんだね

あくまでVegaが入院した病院の体験です。病院によって違いますのでご注意を

アルコール依存症の薬物療法

そもそもアルコール依存症という病気を根本治療できる薬は残念ながら今のところありません

アルコール依存症は精神疾患に分類されます。

脳は「考える」「感じる」「気分」「やる気」の活動の中心部分です。

心の病気を発病する時は、脳内ホルモンのバランスが乱れていることが多いようです。

薬の使用で脳内物質のバランスを整えることができます

ですから心の病気の治療に薬物が使われ、一定の効果があるのは理解できますし、ありがたく思っています。

アルコール専門病院へ行きたがらない人でも納得する5つの理由
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魔法の薬はないのかぁ

他の治療法と組み合わせると効果は見込めますよ

アルコール依存症にとって薬は断酒継続の補助薬

心の病気すべてに薬物が有効なわけではありません

薬物療法が中心となる病気そうでない病気があります

薬物療法が中心なのは統合失調症・うつ病・躁うつ病・強迫性障害・社会不安障害・パニック障害など。

アルコール依存症は薬物療法ではなく、心理社会的治療が中心になるという医師のほうが多いようです。

アルコール依存症にとって薬の服用は、断酒継続の補助薬というのが多くの医師の考えです。

アルコール依存症の場合は断酒継続の補助的な役目なのね

アルコール依存症の薬物療法
アルコール依存症の断酒維持のための薬物療法として、抗酒薬(ジスルフィラム・シアナミド)と飲酒欲求を減らす薬(アカンプロサート)が利用できます。抗酒薬は飲酒後の不快反応を利用して心理的に飲酒を断念する薬、アカンプロサートは脳内に作用して飲酒への欲求を減らすことで断酒を補助する薬です。

最後に

新しい薬はどんどん発売されます、医学の進歩を期待しています。

結論としては現段階では、決定的な力があるとは言えないが、色々な方法と組み合わせて補助的に使用する一定の効果が見込めるというところです。

当然ですが私はあえて飲んでみようとは思いません

薬に頼らずに断酒できるなら、そちらの方が断然良いと思うからです。

薬で何もかも問題が解決できるという考えには強い違和感があります。

症状により医師の指導の下薬の力を借りつつも病から立ち直っていく力本人の中に眠っていると考えています

そして酒を飲んでいなくても、行動・言動は変わらない、いわゆる回復していない依存症者には問題があると考えているからです。

繰り返しますがこれらの薬は服用しただけで断酒に成功するというものではないと思います

薬物療法と他の心理・社会的な治療、自助グループへの参加と組み合わせることが効果を最大限に得るために重要ではないでしょうか?

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