
この記事は「断酒のきっかけは底つき」です

結論は「『底つき』を早く経験するにはやめている人を知る」です
お酒をやめられない。禁酒しても継続ができなくて困っていませんか?
あるいは夫の飲酒問題で家族は振り回されていませんか?
- 断酒の入り口は「底つき体験」です。
- 断酒の最初の関門が底つきを受け入れることです。
本当は多くの様々な人の「底つき体験」を鏡に自分の問題を知ることが大切ですが、簡単ではありません。
「底つき体験」については、ブログの1記事だけでは説明しきれませんが、骨組みとなる内容の記事を書きたいと思いました。
私が断酒ができるようになったのも「底つき体験」がきっかけです。
アディクション(嗜癖)に苦しんでいる方が、回復を目指すのに「底つき体験」は必要です。
まずは依存症が病気であり、借金も病気の症状だと知ること。
そして出来るだけ早く「底つき体験が腑に落ちた」と自分が思える状態になれば、断酒継続はスムーズになります。
スリップを繰り返し、継続できない方とその家族の方の参考になれば幸いです。
底つきとは?
断酒継続は底つき体験が前提

「底つき」は酒をやめるための最初の前提条件です
「底つき」というのはお酒の魔力にギブアップすることです。
お酒をやめようと思ってもやめられず「もうダメだ」「上手く飲もうとか、自分の力で切り上げるなんて無理だ」
- お酒を飲みながら人間らしく生きることはできない。
- 酒をやめなければ生きていけない。
「お酒の誘惑に対しての無力さ」を受け入れるということです。
「底つき」は知識として知っているだけでは効果を発揮しません。
- 実際に長年断酒していても再飲酒する人は底つきが不十分です。
- 底つきと棚卸は密接な関係にあります。
- 棚卸が不十分だと底つきも浅くなります。
断酒三年くらいで失敗する人には底つきと棚卸が上手く働かず「自分はもう依存症から卒業した」と感じる人が多いように思います。
本当に卒業できていれば申し分ありませんが、長年に渡ってできた心・脳の習慣は簡単には変わりません。


無力はお酒をやめる最重要キーワードです
私も断酒のきっかけは底つきだった
アルコールに依存するとはお酒が手放せない状態

アルコール依存症とはお酒を手放せない状態です
断酒とはきっぱりとお酒をあきらめることです。
きっぱり諦めるのに必要なのが「底つき体験」です。
私も断酒が継続できるようになったきっかけは「底つき」でした。
「底つき」は一見自己実現とか、自助努力とは無縁の言葉です。
- スマートに飲めるのが立派な大人。
- 酒を上手に飲みながら自分の夢をかなえたい。
「底つき」体験前はそう考えていました。
- ですから自助グループでは多くの人が酒をやめているのは知っている。
- しかし「底つき」がまず必要と言われる。でも「どうして?」
- だから自助グループが嫌いだったのです。

無力ってあきらめることなの?
「敗北」=「底つき」を認めてやっと断酒・回復がスタートした
ところが「敗北」を認めてどうなったか?
- アルコール専門病院の治療も積極的に受診するようになりました。
- 嫌いだった自助グループにも参加しました。
- 断酒継続し、ステップを学んだり、遠方の例会・ミーティングに参加するようになりました。
- そのうち「反省(棚卸し)」ができるようになりました。
- 見栄もプライドもかなぐり捨てて、初めて自分の愚かさを認めるようになりました。
反省(棚卸し)が進むと自分が変わっていった
積極的に断酒している人の姿から学び、反省(棚卸し)が進むと自分自身が変わっていくのがわかりました。
- どれだけ色々な人に迷惑をかけたのか。
- どれだけ多くの人が、救いの手を差し伸べてくれていたのに、気づかなかったのか。
- 自分がいかに小さい人間か。
こういったことを思い知りました。
そして「やり直したい。もう一度、一から立ち直りたい」と思うようになりました。
酒を飲まないで人生を立て直すことを決意した時が「底つき」「敗北を受け入れた」瞬間でした。
底つきが難しいのは主観的な自覚だから
借金だけでは底つきではない
最近「底つき体験は不要」という方が増えつつあります。
しかし大半の場合「底つき」の意味を誤解しているようです。
- 「底つき」は客観的事実ではありません。他人が何を言っても無駄なのです。
- 主観的事実なのです。本人の心の中にしかありません。
離婚したとか、解雇されたとか、犯罪を犯したとかは、きっかけになり得ても「底つき」体験そのものとは違います。
離婚をしても断酒できる人もいればできない人もいます。
ですから離婚だけでは「底つき」とは言いません。

離婚・破産をしたから底つきをしたとは限らないんだね
第三者から見ると「底つき前にやめた」「いつまでも底つきしない」と見えます。
客観的な事情はどうであれ、飲酒をしている人が「自力では、お酒をやめられない」ことを受け入れるのが「底つき」です。
底つきの体験をした人の特徴
では「底つき」体験をした人の特徴は何かです。
自分流の酒のやめ方では、やめられないと実感していることです。

下に書いた内容を言っているうちは「底つき」じゃないよ
具体的に書きます。まずは失敗経験から。
私や私の仲間が「自分流にやめようとして失敗した方法」です。
- 今日はビールだけにしよう。
- 今日は2杯だけにしよう。
- せめて昼からは飲まない。
- 一人で飲むと、誰も止めてくれないし、飲みすぎる。誰かと飲もう。
- 運動をたくさんしよう。
他にもありますが、こういったやり方で量を減らしたり、おとなしく飲もうとしているうちはダメです。

そんなことくらいわかってるよ!!
「それくらいのことは分かっている」とおっしゃる方は多いのです。
しかしスリップするの時の心境を思い出してください。
- 「ちょっとくらいならいいか」
- 「○○か月やめたし、飲酒欲求もないし、大丈夫じゃない?」
大なり小なりこういった気持ちがどこかに潜んでいたはずです。
底つきを受け入れたあとは「継続」だけが問題です。

あとは継続を軌道に乗せるだけ
以下は「AA ミーティング・ハンドブック 第三章 さらにアルコホリズムについて」より引用。
私たちがやったことをいくつか書いてみよう。ビールだけに限る、飲む杯数を決める、一人では決して飲まない、昼間は飲まない、家でだけ飲む、家に酒を置かない、仕事の時間中は飲まない、パーティでだけ飲む、スコッチからブランディに切り替える、ナチュラルワインしか飲まない、仕事中に酒に手を出したらクビになることを承知する、旅行をしてみる、旅行は控える、(宣誓の儀式をするかしないかは別にして)永遠に飲まないと誓う、運動の量を増やす、心に感動を呼ぶような本を読む、健康施設や療養所に行く、精神病院に入ることを受け入れる──等々、例をあげればきりがない。
なぜ「底つき」は依存症の治療に必要なのか?
なぜそこまで「底つき」が必要なのでしょうか?
「底つき体験」が不十分な人は、真剣に断酒できないからです。
- 私がアルコール依存症と診断されたのが18年前です。
- そこからの8年間は飲んだり止めたりの繰り返しでした。
- 一時的に体調は良くなりましたが、仕事も家庭もじわじわとダメになっていきました。
- いつまでたっても出口の見えない苦しみに襲われ続けていました。
その後きっかけとなった3度目の専門病院の入院を機会に、大嫌いだった自助グループにも参加するようになりました。
今まで「アル中の集まりだ」と思っていたのですが「この人たちは自分ができないことをやっている」という現実を受け入れました。
それから自分の過去と向き合い、恥ずかしい失敗を人前で語りました。
最低限の素直さと覚悟を持つことで「自分に酒を飲まさない工夫」を続けられるようになります。

継続のために必要なのね
自分にも家族にも底つきはいつやってくるかわからない
そして本人自身にも、周囲の人にも「底つき」がいつやってくるのかはわかりません。
- アルコール依存症とまで行かなくても、酒で問題を起こせば、どこかで必ず「やめたい」という気持ちがわきます。
- 依存症者になると、何百回も止めたいと思っているのです。
- ところがその何百回かの止めたい気持ちの、どれが本当の「底つき」なのかは、止めてみなければわかりません。
また断酒が一生続くことから考えれば、棺桶の蓋が閉まるまでは分からないと言えると思います。

底つきはきっかけなんだね

上手く活かして継続をしたいね
家族の方から「うちの夫はいつになったらやめたいと思ってくれるのだろう?」という嘆きを聞きます。
私の答えはいつも同じです。
「ご主人さんのアルコール問題は誰の手にも負えません。奥さんや子供さんから、まず幸せになってください」
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結論として底つき体験を早くするには
底つき体験を早くできれば、多くの物事を失う前に断酒して人生をやり直せます。
どうすればいいのか? ですが
本人はやめている人と接する
本人の場合はやめている人と接することです。
王道は自助グループです。
無理ならブログやTwitterなどのコミュニティでも構わないと思います。
- 生身のやめている人の姿を知ること。
- やめている人と人間関係を持つこと。
家族は病気の症状を知る
家族が多く陥りがちな間違いは酒をやめさせようとするつもりで底つき体験を妨げていることです。
