自己憐憫は依存症と家族の生きづらさの原因

この記事は「自己憐憫は依存症と家族の生きづらさの原因」です

結論は「認め、受け入れ、謙虚になって取り除きたいと願うところから始めたい」です

自己憐憫という言葉を聞いたことはありますか? 意味・言葉の使い方が少しわかりにくいですね。

じこれんびん」ですが読み方も難しいです。

自己憐憫は「自分かわいそうだと思う、自分憐れ不憫だと思う」心理です。

  • 自己憐憫をしている人を見ると「責任転嫁」「依存心が強い」「自己嫌悪」「ナルシスト」と見えます。
  • しかし自己憐憫は放置されるとミュンヒハウゼン症候群などの病気になります。

実は自己憐憫は依存症回復の重要な言葉です

ある意味で言えば「怒りのコントロール」より重要かもしれません。

  • では自己憐憫どこが問題なの?
  • 具体的に自己憐憫ってどういう特徴?

スリップ原因は、断酒後生きづらさにあります。

しかし「生きづらさの正体って何だろう?」なかなか具体的つかみづらいですよね。

  • まず自己憐憫どういう人間心理でどこが依存症悪さをするのか
  • 不幸を愛する悲劇ヒーロー・ヒロインになるとかえって苦しくなること。

自己憐憫は怒りなどと同じでほとんどの人に備わっている感情です。

ですから完全な克服無理です。

治まったと思っても体調が悪かったり、ストレスが過剰だったり、人間関係が不調だとあらわれてきます。

知ることと、認めることで生きづらさを解消するヒントになるかもしれません。

自己憐憫は自己嫌悪から依存症・鬱につながりやすい

自分を責める癖から自己憐憫に

「あなたはアルコール依存症です」と初めて医師から告げられたとき私は「アル中ではない」と否認をしました

しかしわずかにほっとした記憶はあります。自分の異常な飲み方に病名がついたからです

例え病気としてであっても「認められたような気がした」のだと思います。

自分でコントロールできない飲酒行動に不安と罪悪感がありました。

やがて断酒を決意して、曲がりなりにも自分の愚かさを認め始めると「自分を責める」段階へと移りました。

  • 自助グループでは素晴らしい体験談を語る人が大勢います
  • 一方私は「自分を責めるだけの体験談」から、なかなか離れられませんでした
  • 自虐的に「自分を責める」ことがすっかりになり、抜け出せない人には「自己嫌悪」などいくつかの共通した特徴があるように思います。

反省をしようと思っても自分を責めてしまうことについてはこちら

原因自分論で断酒継続
私自身が断酒継続ができるようになったのは、原因自分論で考えようと決意し始めたころからです。断酒を継続させながら原因が自分にあると認める習慣スリップのリスクを減らす方法。その回復過程で気をつけたい対策ポイントの「自分を責める」「結果主義」について書きました。

自己憐憫と不幸を愛する悲劇のヒーロー・ヒロイン

私もそうでしたが自分を責める人は「悲劇のヒーロー・ヒロイン」を知らないうちに演じていると思います

悲劇のヒーロー・ヒロインタイプ「自分はかわいそうなアル中だ」という感情から離れられません

  • 自分が酒を飲んでおかしくなったことを運命で決まっていたかのように美化するナルシストと言ってもいいかもしれません。
  • 運命だから自分は幸せになってはいけないし十字架を背負った「選ばれた人」のように自己認識しがちです。
  • 自分問題呪われた宿命だからということにして自分変えていこうとしません

自分を不憫にかわいそうに思うのが癖になります。

癖になると知らないうちに運命(環境)のせいにしてしまう流れをますます心の中に作ってしまいます

悲劇のヒーロー・ヒロイン型の人は、第三者から見ると不幸いうぬるま湯から出たくない人に見えます。

  • 誰かが「こういうふうにしたら、もっとよくなるんじゃないかな?」とアドバイスをします。
  • すると、「こんなに落ち込んでるのに、そんなことを言うんですか? ひどいですね」と弱い人間であることをアピールしてきます。

私もそうでしたが「自分は純粋な人間だから傷ついてしまう。他の人のようにずる賢く生きられない」と考えていました

自分の弱さ、抱えている悩みの多さ、不幸の深刻さ、被害者であることを武器に気をひこうとしてきます

常に心配されたがるという意味で気をひこうとし、妄想から出た悪意のない嘘をついたりします。

自己憐憫を共感され過ぎると破滅的になる

ところが自己憐憫をするタイプは、基本的に他人に無関心です

  • 自分が心配されるかどうかが悩みの中心で、本質的には他人の不幸には無関心なのです。
  • 困ったことにこのタイプの人は「自分は不幸を愛する悲劇のヒーロー・ヒロインだ「自分をわかいそう・不憫に見える眼鏡をかけている」という自覚がありません

私自身はそうでしたし、今もその傾向が根強くあります

自分をかわいそうだという感情に支配されると他人のことまで考える余裕がなくなります

この知らないうちに自分を不幸にしてしまう部分が第三者から見ると「ぬるま湯から出たくない」と映ります。

そして周囲の人の同情や共感の度が過ぎると、悲劇度がエスカレートしてしまいます。

適度に相手にされなかったり、無視されれば小さな問題ですみますが…

  • 無意識のうちに、ますます悲劇を演じようとします。
  • もともと称賛が欲しくてたまらないのでもっと惨めになって注目を浴びようとします
  • 同情する人が増えすぎる悲劇のドラマをどんどん加速させて、自傷行為まですることもあります。
  • 自己憐憫型の作家やミュージシャン・芸術家に多く見られ、彼らは人気が出ると余計に破滅的になります
  • 家族のイネイブリングにも似たところがあります

全て自分が悪いわけではない

親からの性的虐待は簡単に許せない

毒親、毒父と言っても色々です。

     
かなり昔になりますが、内田春菊さんという漫画家が小説を書いたことがありました。

養父による性的虐待から様々な職業を経て、漫画家になった自伝的色彩の強い作品で映画にもなりました。

養父から性的虐待を受けて「他人を許すのは尊いことですね。はい、わかりました」と言える人は、ほとんどいないでしょう

  • 内田春菊さんは、かなり淡々と自分の過去を書いています。
  • 作品を執筆して心の傷が少し昇華されたのかもしれません。

前節で自己憐憫・悲劇のヒーロー・ヒロインタイプと書きました。

しかし、養父から性的虐待という心の傷を負った人を、その言葉で呼ぶことはとても酷です

同じように殺人事件の被害者家族「許し」「感謝」を押し売りするのは、行き過ぎだと思います。

そういう意味で前節の内容だけでは、言葉が足りていないと思います。

自己憐憫が鬱・アルコール依存症を加速させる

アルコール依存症の人は緩慢な自殺行為をしている

私は自分自身と仲間の体験談からアルコール依存症者には自分を責める傾向があり、悲劇のヒーローになりたがる感情を心の底に持つ人がとても多いと思うようになりました

アルコール依存症になるまでは平均して20年かかります

20年間もの長期間大酒を飲み続けるということは、緩慢な自殺行為です。

  • 自分を大切にしたいと願っている人なら、どこかでブレーキがかかります
  • 心の底で強く自分を責め、他人を責めるエネルギー依存症になるまで酒を飲ませ続けたのです

断酒しても自己憐憫を克服しなければ、ミュンヒハウゼン症候群などの症状が出やすくなります。

ミュンヒハウゼン症候群について詳しくはこちら

謙虚と卑屈の違い

自己憐憫に陥っている人が自分の体験談を語るときの口癖があります。

それは「なぜ自分ばかり!!

なぜ自分ばかり」という言葉を使い、自分が「できない」「失敗する」ことを人や環境のせいにします。

  • 一方本当に謙虚な人どんな環境でも、自分のできることを着実に進めていきます。
  • また少しでも他人や環境に感謝しようとします。

私は心の中に「なぜ自分ばかり」が浮かぶなら「謙虚」ではなく「卑屈」なのかもしれないと自己点検しています

卑屈になると関心は自分だけ。謙虚な人は感謝したり他人に思いやりが出るよ

人間関係のストレスには自分の感情を振り返るのも効果的

自己憐憫に陥りやすい人の特徴として、人間関係ストレスを抱えやすいという点があると思います。

私は自助グループで仲間の体験を聞いているうち、人間関係がぎくしゃくする時には、高慢になり、感情面で驕り高ぶっている場合が多いと気づくようになりました。

これは他人の姿から気づき、やがて自分を振り返ってみて、やはりそうだったと自分自身が納得するようになった特徴です。

自惚れが強くなると、相手の悪い面、欠点が目につくようになります

他人のあら捜しは、隠れた能力自慢だね

また同時に、自信を無くし、自分守りたい感情が強くなってくると無意識のうちにあら捜しの傾向が出ていた自分の過去がはっきりと見えてきました。

人間関係がうまくいかないときは、自分の中に自惚れや、逆に自信喪失から自分を守るために相手のあら捜しをしていないかをチェックすることも役に立つと思います。

ただし苦しみのさなかにある時は無理です

自己憐憫という病気から逃れるには

人生にどうしようもない時期はある

私は回復を願うので、自分を責めるのではなく、できるだけ正確に自分の内面をとらえたいと思っています

もう二度と飲酒地獄に堕ちたくないからです

人間には誰でも「どうしようもない」と感じる時期はあります。

「何もできない苦しさ」経験してきました。

  • 病院のベッドで手足を縛られ、天井を見つめるだけで、何もできなかったこともありました
  • 人それぞれに苦しい時期はあります。それは避けられないし、仕方がないと思います。
  • しかしそういう最悪の時期を超えて、せっかく断酒がうまく始められたなら、一日一日積み重ねていける方が良いと思います

じたばたすると余計に溺れるよ。じっとして浮かび上がるのを待とうね

自己憐憫は毒だが誰にでもある

自己憐憫という感情はです。

依存症にとって「自己憐憫」と「イライラ」は回復のキーポイントだと思います

自己憐憫という感情も、どこからともなくやってきます

私たちは酒に対して無力です。

同様に「イライラ」「自己憐憫」という感情に対しても無力だと思います。

まずその存在を認め、受け入れ、謙虚になって取り除きたいと願うところから始めたいと思います


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